個性派記者の本音トーク 加藤

【スキルヴィング急死】競馬には避けて通れない悲しいシーンもある。それでも……

個性派記者の本音トーク 加藤
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どうも。関西ジョッキーは大体トモダチ、加藤っす。

ダービーが終わって早3日。今年はまた、近年とは違う意味で忘れられないレースになったな。

その余韻も大分薄れてきた中ではあるが、美浦担当の佐山さん曰く、

今日は美浦スタンドの食堂の支払いを全部堀センセイが出してくれるんだってよ!

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なんてことがあったらしい。ま、勝った人間が何かとサービスするのはこの世界の常ではある。

とはいえ、大半の関係者の目線は既に今週以降の開催、特に夏競馬に向いている。オレたちも色々と先回りして、6月競馬に向けて入念に準備してきたので楽しみにしていてほしい。


さて、“ダービーの余韻が薄れてきた”とは言ったものの、今年に関しては今もなお避けて通れない事件があった。スキルヴィングがレース後に心不全で亡くなってしまったことだ。

恐らくレース終盤には発症していて、なんとか入線は果たしたものの、そのまま力尽きてしまったということだろう。“予後不良”ではなく“死亡”だからね……。日曜夜にお送りした【先週のスマッシュヒット】では最後に一言触れるだけになってしまったが、まずは改めてスキルヴィング号の冥福を祈りたい。


こういったレース中のアクシデントの度に様々な声が挙がるけど、オレたちの立場から言葉を選ばずに言うと、競走馬がこういう最期を迎えることは少なくないし、ある意味では“日常”になっている。今回は世間の耳目を大いに集めるダービーが舞台で、かつ上位人気馬だったことから大きな話題となっただけだ。

しかし、だからといって死のショックを感じなくなるワケではない。特に、調教師や厩舎スタッフにとって「自分が管理する(担当する)馬が、レース後に手元に戻ってこない」という事実はとても悲しいものだ。

それでも、当事者たちは今日もひたむきに管理馬に向き合い続けている。それもまた競馬サークルの日常だ。亡くなった馬のことを忘れるでもなく、でも引きずるでもなく。本当に凄い人たちだよ。

また、こういう時に“人間のエゴ”を持ち出すことは個人的にはナンセンスだと思っている。確かに競走馬は経済動物だ。けれども、こういう時に哀悼の意を示すことに何か問題があるというのかい? この話はデリケートなのでこれ以上はしないでおくけども。

アクシデントや展開の不利を受け止めて
「夏競馬はもっと勝つぞ!」

で、ここからが本題。実は、ダービー週の取材中にこんなことがあった。

オークス週に◎本命提供したダイリュウブラックという馬が大惨敗に終わって、詳細や今後の動向を確認するために関係者を訪ねたところ「レース中にアクシデントを発症していて、レース後に股関節の骨折が判明したよ……。そのまま安楽死になった」と言われてね。

この馬は厩舎サイドや鞍上が非常に高く評価していて、レースの前も「勝って上のクラスでもすぐ通用するはず!」と盛り上がっていた。それだけに、まさかの事態となって非常に重い空気が流れていたよ。競馬の祭典ウィークとはとても思えないほどにな。実際に話を聞いていた身としてもそうだし、馬券を買っていた立場としてもやりきれない思いがある。

それでも、オレたちは現場でこういう話を後から聞くことができるから「ああ、そういう原因があったのか……」と思うことができるだけ、まだマシなのかもしれない。しかし、特に下級条件戦の馬に関する情報がなかなか手に入らない一般の競馬ファンにとっては、手元に残るのは“不的中”という結果だけ。割り切ることは簡単ではないと思う。

それも含めての競馬と言ってしまうのは簡単だけど『その上で、オレたちは一発勝負での結果が求められている』ということは忘れてはいけないと、春競馬の終盤に改めて胸に刻んでおきたい。

5月競馬は個人的な馬券を含めて良い形でお届けできたレースも多々あったが、ダービー週は悔しい結果に終わったレースが多かった。

正直、今でも「狙いとしては間違っていなかった」と自信を持って言えるし、実際にレースの展開がホンの少しだけでも違えば特大の払戻しがゲットできていたとは思っているが、実際に目の前に出た結果に対しては真摯に向き合った上で「この結果を引きずることなく、夏競馬でさらに良い結果を残すぞ!」を気持ちを新たにしている。


さあ、待ちに待った夏競馬。新生CHECKMATEのパワーを結集して戦い抜いていくつもりです。大いに期待してくれよ!

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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