個性派記者の本音トーク 加藤

【調教師になっても大人気】福永祐一“先生”の存在感に沸いた今年のセレクトセール

個性派記者の本音トーク 加藤
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関西騎手は大体トモダチ、加藤です。北海道はともかく、本州は酷暑が続くねえ……。皆様くれぐれもお気をつけて!!

サイト内で先週以前から再三話題にしてきたセレクトセールが今週月・火曜と開催された。

売上的な話は皆様もご存知の通り、今年も歴代最高記録をさらに上書きしたな。大物馬主による札束での殴り合いが至るところで繰り広げられていた。

一方で、今年は色々とワケアリでセレクトセールでの買い物を控えた馬主も少なくない。「あれ、アノ馬主さん、今年はあんまり買わなかったのね」とお気づきになる方もいらっしゃるかもしれないな。近年のセール購入馬の不振や、方針をセールから庭先取引に切り替えた等々、明るい理由から少々暗い理由まで様々存在したりするんだよねえ。



さて、今年も現場ではCHECKMATE情報網が色々なネタを仕入れてきたワケだが、騎手情報担当の身としては、この人に注目せざるを得ないよな。



そう、今年2月末で騎手を引退した福永祐一調教師だ。

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コントレイルの主戦の元に高額産駒が!

今年から晴れて“先生”として、馬主に競走馬を買ってもらう側の立場での参加となった。

そして一般報道にもある通り、既に超高額馬を複数預かることが決定している。一部を紹介すると下記の通り。

福永祐一調教師が預かる予定の馬たち
アイムオールレディセクシーの2022
(牡1歳、キタサンブラック産駒)
廣崎利洋HDが2億9000万円で落札

アルテリアの2022
(牝0歳、キタサンブラック産駒)
藤田晋オーナーが8000万円で落札

コンヴィクションⅡの2023
(牡0歳、コントレイル産駒)
前田幸治オーナーが5億2000万円(!!!)で落札

先週末に黒木さんが「馬産地界隈ではコントレイルの評判が凄く良いんです」という話をしてくれていたが、その例に漏れず、0歳(当歳)部門の上場馬が初年度となるコントレイル産駒はかなり価格が高騰。

中でも、マエコーさんが「ユーイチが“コレが一番良い”と言った馬」というコンヴィクションⅡの2023はとんでもない競り合いになった。それでも欲しかったということだな。

これは言うまでもなく“開業祝い”だ。『そこまでするの?』と思った方も少なからず居るとは思うが、それだけユーイチ先生が周囲に慕われ、愛されていることの証明と言えるな。加えて、競馬ファンへのサービス的な部分もあるだろう。



とはいえ、ここまで開業前から騒がれる新人調教師も随分と久しぶりだな。四位さんや蛯名さんでもココまででは無かったもんね。

昔は【1000勝ルール】と内部で呼ばれる規定があって、1000勝以上を挙げた騎手が調教師試験を受ける場合、一次試験が免除されていた。要するに、面接が主体の二次試験だけでOKだったんだ。だから、往年の名ジョッキーが調教師に転身というケースはきわめて多かった。

ところが、そのルールによって元騎手→調教師となった方々が、お世辞にも好結果を残していたかというと、決してそうではない。無論、中には大成功した元騎手も居るが、皆さんが浮かぶのもほんの一握りだと思う。

そういう事情もあって、このルールは2003年から撤廃された。騎手と調教師で求められる資質はまるで違うということが明確に言われるようになった頃合いだな。

※ちなみに、このルールで騎手から調教師に転身した田原成貴氏が2001年秋に銃刀法で逮捕されたから廃止された……という見方が一部にあるようだが、実際にはその前からルール廃止が決まっていたので無関係だったりする。その頃、オレはまだこの世界に居なかったら堀江さんに伝え聞いた話だけどな。



とはいえ、『じゃあユーイチ先生はここまでのお膳立てがあっても、成功するとは限らないのか?』と言われたら、オレは順当に成功すると思うけどな~。

そもそも、ユーイチ先生の騎手時代……特に晩年は“調教師になった時のために今から馬の見方を勉強している”という姿勢でセールに参戦していたし、周囲の馬主はそういう姿を間近で見続けてきたのよ。だからこそ、開業前から高馬を預けようとしているのよね。

オレは一般的に報じられるよりかなり前からユーイチ先生の調教師試験の受験話を聞いていたから分かるけど、決して“元トップジョッキーだからというだけで”試験をパスしたワケじゃない。前々から転身する日のことを考えて、常に逆算して動いてきた場面が沢山あったからな。


それよりも、個人的に心配しているのは『ユーイチ厩舎、馬房足りるの?』という部分だったりする(笑)。今は規定で“馬房数の最大2.5倍まで”しか厩舎は馬を預かれないことになっている。そして、新規開業厩舎は基本的に【12~14馬房】からスタートして、年数や成績によって増減していくことになる。

つまり、ユーイチ厩舎は最大でも35頭(14馬房×2.5倍)程度からのスタートになる見込みなんだが、現時点でも相当な数の依頼を断っているであろうことは容易に想像ができるんだよねえ。馬主との付き合いも大変だろう。


とまあ、ここまでは馬券に関係なさそうに見える話をしてきたけど、来年以降の的中馬券に向けて、ユーイチ先生関連の情報収集は今から欠かせない。

目の前のレースにも全力を注ぎつつ、未来のために情報網を駆使してセール現場情報を集めているということだ。ココで聞いた話が来年以降生きてくるのが今から楽しみだ。

そしてもちろん、今週の馬券も気になるレースがいくつもある。コチラに関する情報も明日以降、各記者の【本音トーク】で公開していく予定なので注目してくれよな!

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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