個性派記者の本音トーク 加藤

【不憫な男】本来乗る予定だった馬に……まさかの“嫁”が騎乗。どうしてこうなった?

個性派記者の本音トーク 加藤
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どうも加藤です。昨日に続いて連闘だ。

個人的には『今年のジャパンCはあくまで見て楽しむレース』だと思っていて、実際の勝負所はジャパンC以外のレースだったり、来週の競馬(中山・中京・阪神の開幕週)だったりと考えているんだけど、かといってジャパンCに関しても大事な情報は伝えていかないとね。

ということで、今日はジャパンCのジョッキー事案だ。

一般にも報道され始めているが、昨年の覇者ヴェラアズールに騎乗予定だったライアン・ムーアが急遽、今週の騎乗を見合わせることとなった。現状は回復の見込みがないらしく、今後の免許は返上して帰国する予定らしい。非常に残念だ。

そんな中、代わりに選ばれたのは短期免許で来日中の女性騎手、ホリー・ドイルだ。

早速、ここで事の運びを整理しておこう。


元々、この馬には同じく短期免許で来日中のトム・マーカンドが騎乗予定だったんだよね。というのも、ムーアは来日予定の外国馬(コンティニュアス)への騎乗が内定していたからだ。

これはコンティニュアスがアイルランドの名門エイダン・オブライエン厩舎の管理馬で、厩舎の主戦騎手をムーアが務めている関係で、基本的には自厩舎の馬への騎乗を優先しているため

つい先週も、ムーアがバーレーンでのレースに騎乗のため、土曜日の中央競馬をキャンセルしただろう? これも、そのレースで騎乗した馬がオブライエン厩舎の管理馬だったんだよな。


ところが、このコンティニュアスが調整中のアクシデントにより来日キャンセルとなり、ノーザンFサイドはいち早くムーアを確保。ヴェラアズール陣営は昨年と同じコンビで参戦できることになった。

その割を食ったのがマーカンドだ。結局、代わりにあてがわれたのはスタッドリーという、実績面では格落ちする馬。まあ、ノーザンFサイドの優先度が『ムーア>>>>>マーカンド』なのはしょうがない。付き合いの長さも日本での実績も違い過ぎるからな。

しかし事態はさらに急転し、このムーアが先週日曜の競馬で落馬負傷。当人はすぐに復帰する意欲を見せてたんだけど、思いのほか回復が遅かったみたいでな。ドウデュースに乗れなくなったユタカさん(武豊)と同じような境遇になっちまった。

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※画像はあくまでイメージです
他意はありません

さて、これで困ったのがノーザンFサイドだ。マーカンドをヴェラアズールに戻して、スタッドリーの方に別の騎手を入れることもできなくはなかったんだろうが、流石にそれは“やりすぎ”と判断したんだろうな。スタッドリーに出資している会員さん(※シルクレーシング)に対しての心証も良くないだろう。

その結果、ヴェラアズールの方には“現状で予定が空いていて、かつ当日に東京で乗る騎手”から選ぶということになり……選ばれたのは、なんとホリー・ドイルだったということさ。

騎手事情に詳しい方はご存知の通り、マーカンドとドイルは夫婦の間柄だ。つまり、マーカンドからしたら『最初に依頼をもらっていたはずの馬に、気が付けば嫁が騎乗することになっている』というメチャクチャ謎な展開になっているワケよ(苦笑)。事情を知っている側からするとなかなか面白い采配なんだけど、当人にとっては複雑かもしれんな~。

意外とバカにできないドイル起用

ただ、ここからは真面目な話だ。今年も夫婦セットで来日している両名だが、実はドイルの方は昨年から成績が一変している

ドイルの騎乗成績を前年と比較
・2022年の来日時(8週間騎乗)
2-9-7-89
勝率1.9% 連対率10.3%


・2023年の来日時(2週間終了時点)
4-2-4-21
勝率12.9% 連対率19.4%

【参考】マーカンドの前年比較
・2022年の来日時(9週間騎乗)
16-14-15-93
勝率11.6% 連対率21.7%


・2023年の来日時(2週間終了時点)
3-2-3-21
勝率10.3% 連対率17.2%

ご覧の通り、まだ2週間しか騎乗していないとはいえ、早くも昨年の勝利数を上回った

前年に持ち味が出せなかったことを踏まえて、今年はローカル開催を拠点にしたこと、それに伴って騎乗馬の質が大幅に上がったことも理由だが、本人が意識して日本競馬にアジャストしようとしているのは伝わるよ。

元々、自国(イギリス)競馬の騎手リーディングではマーカンドが4位、ドイルが5位とマジで甲乙つけ難い成績を残しているように、腕前については女性騎手のくくりで見ちゃいけないモノを持ち合わせている。

そして、ドイルに関しては日本での参戦に際して、JRAの女性騎手に与えられている“女性騎手の減量特典(マイナス2キロ)”が適用されていない。それでいて互角以上に戦えているんだから大したもの。

ローカルで一緒に乗っている永島まなみとか、古川奈穂にとっても良い刺激になっていることだろう。そういう意味では、日本の女性騎手のレベルを底上げするためにも、ぜひとも今後も毎年来てほしい存在だ。

今週はローカル開催がなく東京での騎乗となるので、騎乗数は少なくなりそうだが、ヴェラアズールの大抜擢に応えて思い切った騎乗を見せてもらいたいところ。そして師走競馬ではドイルを頼る場面も出てくるだろうから、今後の情報にも注目してもらいたいね。

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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