
関西ジョッキーは大体トモダチ、加藤です。今日もジョッキーたちを深掘りすっぞ!
2024年の競馬はまだ2週間が終わったばかりだが、色々と騎手たちの結果を分析してみるとなかなか面白い様相が見えてくる。
ココ最近採り上げている新外国人ジョッキーに関しては、先週はルメートルが2勝、キングが1勝を加算。そしてピーヒュレクが嬉しい初勝利となった。
一方で、キングスコートとモリスは勝利ならず。特にキングスコートは「これは取りこぼせないほどの馬」という内部情報があった土曜中山11R(ダノンディンパニー)で5着敗退……これは色々な意味で痛い。
陣営としては賞金加算に失敗したことが何よりも辛いところ。そしてキングスコートは超・有力馬への騎乗ながら、直線で前が詰まって脚を余すという最悪な負け方だ。
しかも、勝ったルメール(パラレルヴィジョン)に先に進路を取られた上での敗戦というのがね……。同じレースで人気薄のアナゴサンを先行させて粘らせたキングの腕が如実に光る結果となったのも間が悪いというか。
結果的に、1週目でお送りした『格付けチェック』に変化は無し。このままだとマジで“絶対アカン”一直線だぞ……。
さて、明るい話、タメになる話もしよう。
2週終了時点での騎手リーディング争いはルメール・川田将雅がいずれも9勝。2着数の差で川田がリードしているが、何というか代わり映えしねえ……!
ただ、それに次ぐのが坂井瑠星(8勝)という点は見どころだな。今年はキャリアハイをさらに更新する可能性が早くも見えてきた。
年 | 勝利数 | 順位 |
---|---|---|
2024年(1/14時点) | 8勝 | 3位 |
2023年 | 107勝 | 7位 |
2022年 | 98勝 | 8位 |
2021年 | 53勝 | 18位 |
2020年 | 42勝 | 26位 |
2019年 | 30勝 | 35位 |
2018年 | 10勝 | 75位 |
2017年 | 36勝 | 28位 |
2016年 | 25勝 | 42位 |

2017年秋から1年間ほどオーストラリアに長期修行に出ていた関係で、そこで日本での勝利数は一旦凹んでいるが、トータルで見れば至って順風満帆な推移を辿っている。特に2022年のジャンプアップが大きいな。
そんな坂井瑠星で絶対に押さえておきたいポイントがある。それは『逃げ馬での勝利数が圧倒的に多い』ということだ。
こんなデータ、滅多に見ることは無いと思うが、2023年の中央競馬から“逃げ馬での成績”を騎手別で見てみると、ランキング上位はこういう風になる。
騎手 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
坂井瑠星 | 32-21-13-35/101 | 31.7% | 65.3% |
松山弘平 | 25-16-9-44/94 | 26.6% | 53.2% |
横山武史 | 23-10-14-41/88 | 26.1% | 53.4% |
ルメール | 21-15-7-13/56 | 37.5% | 76.8% |
武豊 | 18-14-7-25/64 | 28.1% | 60.9% |
菅原明良 | 15-16-4-34/69 | 21.7% | 50.7% |
岩田望来 | 15-8-8-28/59 | 25.4% | 52.5% |
佐々木大輔 | 14-11-11-52/88 | 15.9% | 40.9% |
西村淳也 | 13-20-6-35/74 | 17.6% | 52.7% |
鮫島克駿 | 13-13-10-51/87 | 14.9% | 41.4% |
ご覧の通り、逃げた回数はNo.1、そして勝利数もTOPだ。しかも数字が飛び抜けている。
そして、この『逃げ馬での勝利数・逃げた回数』の多さ、実は2022年もTOPだった(逃げ馬騎乗126回、33勝。次点が横山武史の24勝)。
つまり、瑠星が成績を一気に伸ばしたタイミングと合致するんだよな。
無論、“過去に逃げの手に出た馬でも、今回は作戦の都合上逃げない”というケースもあるからそこは情報に頼る必要もあるが、「逃げ馬の瑠星は比較的アテになりやすい」ことは間違いない。この積極性こそが瑠星の武器だ。
今年もその傾向は早くも出ていて、8勝のうち逃げ馬で3勝、先行馬で4勝。その先行馬のうち3勝は道中2番手追走の馬だ。積極性の権化とでも呼んでおこう(笑)。
後はその中からCHECKMATEのノウハウと独占情報と共に、よりカネになる確率の高そうな瑠星の情報馬をお伝えしていくのがオレの立場で求められていること。そこはより一層磨きをかけて頑張らせていただきます。
いずれにせよ、今回は『瑠星の積極性は頼りになる』ということだけでも覚えて帰ってくれよ!
余談:じゃあ川田の逃げってどうなの?
逃げ馬での騎乗成績を見た時に、坂井瑠星に関しては飛び抜けて数字が良いのは間違いないんだが、先述した内容は『どういう馬に乗っているか』『どういう意識で乗っているか』で変わる部分もある。
例えば、川田将雅は逃げの回数がそもそも少ない。その分、好位から先行させて勝つケースが多いんだ。特に川田みたいに“先々を見据えて控える競馬をさせた上で勝たせる”技術に長けている場合もあるしな。

川田が逃げる時は『下級条件でとにかく勝たせてしまう』という場面が大半。2023年の逃げ馬成績が(11-5-1-6)で、勝率47.8%・複勝73.9%。計23鞍ながら率ベースで見ると圧倒的だ。
その内訳は新馬・未勝利が6勝、1勝クラスが3勝、2勝クラスが2勝。3勝クラス以上だとそもそも2回しか逃げの手に出ていない(0勝)というね。
この手のケースの場合、表にはなかなか出てこないけども“手っ取り早く逃げて勝たせます”的な裏話が入ってきた場合は激アツとも言える。そういう部分にもぜひご注目いただきたいな。

加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。