個性派記者の本音トーク 加藤

【ちょっと待てぃ!】なんでもかんでも批判すれば良いってもんじゃない!

個性派記者の本音トーク 加藤
#

ども、加藤です。ちょっとばかし真面目な話を2つしようか。

【1】ルーク・モリス短期免許取消
「ガチョウ」問題の真相とは

今年は年始からいきなり短期免許で来日したジョッキーが5人もいる状況。関東のレイチェル・キングとか、関西のルメートルは軌道に乗ってきた感があるけど、一方で残りの3人に関してはなかなか厳しい状況が続いていた。

特に昨年から来日していたルーク・モリスは、結局初勝利を挙げた後は勝ち星にありつけず、今年は来日している外国人ジョッキーの中で唯一未勝利。更に、先週騎乗停止を食らったことが最後のダメ押しとなって、短期免許を取り消して帰国。実はもうイギリスで競馬にも乗っているんだよね。

で、帰国後にイギリスのメディアに対してもコメントを出していたんだが。その一節がネット上でかなり話題になっている。モリスが触れていたのは、騎乗馬の平均単勝オッズが約50倍だったこと。

これに関してモリスは「I soon realized that I couldn't turn geese into swans」って言っていた。で、これを直訳した一般マスコミが「ガチョウを白鳥には変えられない」って表現をしたんだよ。

そしたら、それを読んだファンたちは「そんな酷いこと言うんじゃない」って怒っちゃったんだよ。たしかにそのまま読むと「走らない馬(=ガチョウ)を寄こされても勝てねえよ」って言っているように見えるもんね。

#

これ、ガチョウのイラストらしい

でも、モリスは「また日本に行きたい」とも書いていたので、そんなこと言うのかな?と気になってさ。

知り合いの英語が得意なヤツを呼び出して聞いてみたところ「turn geese into swans(直訳:ガチョウを白鳥に変える)」ってのは「長所を伸ばす」とか「メリットを最大限を活かす」みたいな意味の慣用句なんだと。それが出来なかった表現したということは、要は「腕が足りなかった」という自虐もあったんだろうね。

なので、別にモリスは自身の騎乗馬をガチョウに例えた訳ではないみたい。一般マスコミの見出しが発端となって、必要以上に悪く言われる立場となってしまった。こういうのは冷静に見てから判断しましょうねという話。批判するなら、ちゃんと真相を知っておきましょうってことなんだ。


さて、ここまではめちゃくちゃモリスのことをかばうように見えただろうけど、オレはここからちゃぶ台を引っくり返します(笑)。

ガチョウ問題はさておき、今回のモリスの選択に関しては肯定出来ないよ。端的に言えば今回の動きは『馬質が上がらない』『勝てない』『騎乗停止も食らった』ということで早々に日本での騎乗を諦めたということ。

たしかにそれはビジネスとして選択肢の一つに入るものではあるんだけどさ。モリスが帰ることでまたジョッキーを探さないといけない陣営も居る訳だよ。今週末はまだ騎乗停止期間じゃないから、騎乗予定が入っていた。なのにそれを「諦めたので乗りません」と捨てて帰ったんだぜ。

友道厩舎なんかは身元引受厩舎だったこともあって、我慢しながら本当に多くの馬を任せてきた。そういった周りの関係者の努力を踏みにじる選択になったことは間違いないんだわ。それでいて「また日本で」なんてのはちょっと都合が良すぎだと思うね。

【2】逃げたマイネルウィルトス
横山武史の選択はどうだった?

もう一つは先週末のAJCCの話。差し馬が活躍していた中山芝で、いつもは差し競馬をしているマイネルウィルトス×横山武史がハナを切って負けたことに対して、一般ファンの間で「あの乗り方はなんだったんだよ!」という声が結構挙がっていたらしい。


……いや、めっちゃ良い騎乗じゃなかった?


武史って今年目標としている漢字が『動』なんだよね。彼はブレイクした時の騎乗スタイルが、とにかく積極的に動いて行く競馬でさ。いかにも若手らしい思い切りの良さが売りだったんだけど、最近は名実ともに“トップジョッキー”になってさ。やっぱり思い切った競馬がしづらくなってきた。

特に武史は去年の有馬記念がかなり悔しかったみたい。1番人気のジャスティンパレスに乗っていたけど、道中は最後方。位置取りが悪く勝ち切れず……という、言っちゃ悪いが見栄えの良くない負け方だった。

#

有馬記念を勝ったのは当社◎ドウデュース!
(馬連2730円&3連複8050円&3連単4万2110円的中)

その悔しさもあって、今年は“動”の競馬をしたいってことだった。オレ、このモードに入った武史はもう一段階良い活躍を見せてくれそうな気がしているんだよな。

で、先週のAJCCは逃げ・先行馬がほぼゼロっていう極端なメンバー構成だった。それだけに『前半多少出して行けば、スローでマイペースに持ち込める可能性が高い』という狙いでハナへ。誤算だったのは、武史のアニキである横山和生が突いてきてペースが流れてしまったことだが、あれがなければいい勝負に持ち込めたと思う。

我々とすればマイネルウィルトスに好走の期待を抱いていたから結果には残念な気持ちもあるんだが、何より武史が“勝ちに行く”という競馬を見せたことに対しては、個人的にちゃんと満足している。


競馬ってのは難しくて、勝ちに行ったからこそ負けてしまうってことも少なくないんだよね~。まあ、そうやって一筋縄では行かないからこそ面白いのも間違いないんだけどさ。

とにかく今回オレが言いたかったのは、やたらめったらなんでもかんでも批判すれば良い訳じゃない。馬券作戦とも共通するところがあるでしょ。適度な“逆張り”は必要だけど、論拠もないのになんでもかんでも逆張りばかりしてたら、勝てるもんも勝てない。

CHECKMATEで言えば、山川くんは毎週事実に基づいた話をし続けていてさ。4万馬券大的中だった有馬記念を含めて、重賞に関しては毎週人気馬に対して“適度なケンカの売り方”をしていると思う(笑)。

ジョッキーに対する批判も、決してしてはいけない訳ではないよ。馬券を買っている身からすれば、言いたくなる時があるのはよくわかるからね。そこに関しても適度に、事実に基づいた主張をしていきましょうな。それを続けていたら、自ずと馬券の的中にも近付いて行くと思うしね。

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

#加藤の記事を読む