個性派記者の本音トーク 加藤

【風雲急を告げる】ムルザバエフ騎手再来日……勝たないと来年以降ピンチ!?

個性派記者の本音トーク 加藤
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早くも2024年のGIが始まるぞ!騎手情報担当の加藤です。

2024年のフェブラリーSは
とにかく戦前の話題が多すぎる!

今年のフェブラリーSはちょっと色々と話題がありすぎるんだ。『オメガギネスは前走の平安S2着で戸崎圭太がクビ!?⇒しかもルメール起用かよ』とか、『そのオメガギネスは結局賞金が足りなくて現状ピンチ!?』ってのも大きなトピックだし、

他にも『ガイアフォースはレーティングで拾われるのを見越しての参戦表明か』『ウィルソンテソーロの原優介がまさかの降板⇒松山弘平にチェンジ!?』とか、本当に書きたいことが多い。

ただ、まずはこのジョッキーについて触れていかないと……ということで、早速だが表題の件へ。バウルジャン・ムルザバエフがフェブラリーSから再び日本競馬に参戦だ!

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フェブラリーSでは
ドゥラエレーデに騎乗予定
(2022年ホープフルS勝利時も騎乗)

本来なら『同時期に短期免許を取得できるのは最大5名まで』というルールの関係でこの時期の来日は難しいと思われていたんだが、先日から再三話題に挙げた、ルーク・モリスが早々に免許を返上して帰国する騒動があった。その関係で、急に外国人枠がひとつ空いたんだよね。

当然、裏ではラスト1枠が空いたところに来日を希望するジョッキーは他にも居ただろう。そんな中でも大チャンスを掴むことに成功した。

そんなムルザバエフだが、実は今年の来日は“何が何でも勝ちたい、勝たねばならない”とある事情がある。というのも、今回の結果で『来年以降の来日が叶うかどうか』が懸かっているからだ。

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一体どういうこと? と思う方も居るかもしれないので、ここで前提情報を説明しておこう。ズバリ【短期免許取得に必要な条件】だ。

これ、2010年以降に何回か規定が変わっているんだけど、大まかに条件を説明するとこんな感じになる。

短期免許取得に必要な条件(いずれか)
①免許取得国のリーディングで上位に入る(直近2年が対象)

②過去2年+当該年に『定められた海外競走(GI)』を2勝以上

③過去2年+当該年に『JRAのGI』を2勝以上
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ざっとこんな感じ。ただ、女性騎手はもうちょっと基準が軽いというか“女性騎手の中で1位ならOK”という規定が別に存在する。

ムルザバエフが短期免許を取得できているのは、自身が拠点としていたドイツにて2019年~2022年と4年連続でリーディング1位を継続してきたからだ。つまり、今年で言えば“2022年のドイツ1位”が短期免許取得の要件を満たしている。

ところが、ムルザバエフは2023年から拠点をフランスへ移した。名門と言われるアンドレ・ファーブル厩舎に所属することになったからだ。

これは騎手のキャリアだけを考えるとナイスなチャレンジだと思うが、JRAの短期免許を継続して取得する上では厳しい立場になった。フランスのジョッキーレベルは、ポッと出でいきなりリーディング上位に食い込めるようなモノではないからな。

※ちなみに、ムルザバエフは2023年のフランスリーディングで20位(60勝)。1位のギュイヨンはなんと248勝、2位バルザローナ(186勝)、3位C.デムーロ(149勝)と続く。年明けから日本に来ているルメートルは113勝(5位)となっている。

そういう事情もあって、再来日が実現したムルザバエフは相当ヤル気になっているはずだ。今回は皐月賞当日までの短期免許だが、この期間にGIを2つ勝ってしまえば、来年以降もコンスタントに日本競馬への参戦が実現できるかもしれないからね。

ドゥラエレーデ陣営としても、この馬で一番結果を出している鞍上が日本に来てくれるとなれば、色気も増すというものだろう。持ち前の先行力、芝スタートの優位性を生かせれば、番手追走から押し切るシーンがあっても不思議じゃない。少なくとも、この馬はジョッキーが確定して楽しみがひとつ増えたと言えるな。

短期免許で来た外国人たち
それぞれどんな背景があった?

ちなみに、引き合いに出させてもらってちょっと申し訳ない気持ちもあるが(苦笑)、つい先日帰国したモリスは、自国イギリスでアルピニスタというGI・6勝馬の主戦を務めた実績があり、その馬で2022年に“定められた海外GIを2勝以上”という要件を満たしたんだよな。ぶっちゃけ、リーディング成績は基準に全く届いていない。

参考:モリスの近年成績(イギリスのみ)
2021年 561戦59勝(イギリス15位)
2022年 527戦52勝(イギリス26位)
2023年 530戦39勝(イギリス36位)

ご覧の通りの現状。つまり、アルピニスタがなければ全くもって来日できてないワケよ。その実績が遠ざかる来年以降は、今のままだと再度の短期免許取得は無理だろうな。もっとも、本人にその気は全く無いだろうが。


とは言ったものの、自国のリーディングだけでは測れない部分も多い。ぶっちゃけ、ライアン・ムーアだって自国イギリスのリーディングだけ見ればモリスとどっこいどっこいなんだよね。

参考:ムーアの近年成績(イギリスのみ)
2021年 304戦48勝(イギリス27位)
2022年 276戦51勝(イギリス27位)
2023年 262戦46勝(イギリス26位)

ただし、ご存知通り、ムーアの場合はとにかく世界各地を飛び回って大レースに騎乗し、そこで結果を残している。だから“定められた海外GIを2勝”の要件を毎年のように満たしているんだよね。


そんでもって、もう一人触れておきたいのがジョアン・モレイラ。彼は色々あって、2022年の終盤に香港での騎手免許を返上して、今は母国であるブラジルを拠点に騎乗しつつ、世界各国を回っている。その事情もあり、上記で紹介した『リーディング上位』での短期免許取得はほぼ不可能な立場になってしまった。

恐らく、今年はまだ香港での2021-22シーズンのリーディング2位が生きているので短期免許は取得できるだろうが、来年以降はかなり怪しい。それこそ、来日中にGIを2勝以上するか、海外の主要GIで結果を出すかの2択だ。その分、モレイラの来日を望む日本の関係者は、海外レースで彼を積極的に起用するかもしれないよね。

こんな感じで、今回はムルザバエフの来日が決まったことが喫緊で一番の案件だけど、この先に来るであろう外国人ジョッキー達にも、なかなか表沙汰にならない事情が孕んでいるケースもある。そういう情報にもオレは精通しているので、ぜひ参考にしてもらいたいところだ。

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ちなみに、オレは何故かモレイラ(ほか、短期免許で来日する一部の外国人)の通訳やマネージャー業務を担当しているアダム氏のサインをもらったことがある。ある意味、ジョッキー本人のサインより稀少だろう(笑)。



加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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