どうも、週明け早々から国内外の騎手話に振り回されております。加藤です。
ダービー週ということでトレセン内の活気も特別なモノがあるんだが、週明けからジョアン・モレイラ騎手界隈が騒がしかった。
というのも、メルマガで先行情報を公開したように、オークスの裏で自国ブラジルでの騎乗があったモレイラに『後検量で斤量が不足して失格』という事案があったんだ。現地発表によるとレース前に比べて550グラム減っていたらしい。

もはや懐かしい話題になるが、中央競馬では1999年に“シンコウシングラー事件”と呼ばれる事件があった。この時もはレース前の検量と後検量で1.7キロもの差があったということで、失格処分になったんだよな。
自分はこの当時はまだガキンチョだったから内部事情については後から知ったんだけど、鞍上の柴田善臣騎手と、調教師の栗田博憲センセイ(2019年で定年引退)双方の落ち度だったみたいだね。
それに近い事象をモレイラも起こしちゃったようで、海外事情通の中では「騎乗停止になるんじゃないか、その場合日本での扱いはどうなるんだ?」という風に心配されていたんだが、結果として人為的な問題ではない……ということで、モレイラ自身への処分は現状無いようだ(そのレースの失格処分自体は行われたとのこと)。
ま~、モレイラとしては不幸中の幸い……と言ってイイのかは分からんが、ひとまず今回の短期免許期間である残り2週間は日本で問題なく騎乗できる見込み。前々から話題にしている”この期間内でのGI制覇が叶うのか”は引き続き注目しておきたい。
さて、先ほども述べたように、モレイラは先週末はブラジルで騎乗しており、オークスのステレンボッシュを筆頭に乗り替わりを余儀なくされた馬がいくつも居た。それらの成績を一覧でまとめてみよう。
| レース | 馬名 | 人気・着順 | 騎手 |
|---|---|---|---|
| 土曜京都10R | ポルカリズム | 1人気6着 | 川田将雅 |
| 土曜京都11R | メイプルリッジ | 7人気5着 | 西村淳也 |
| 土曜東京12R | アコークロー | 1人気13着 | 戸崎圭太 |
| 日曜京都10R | エンパイアウエスト | 2人気1着 | 西村淳也 |
| 日曜東京7R | グルーヴビート | 6人気2着 | 松山弘平 |
| 日曜東京11R | ステレンボッシュ | 1人気2着 | 戸崎圭太 |
| 日曜東京11R | ランスオブクイーン | 14人気5着 | 横山和生 |
一番の注目を集めたオークスのステレンボッシュが2着に敗れたのは皆覚えていると思うが、トータルで見ても決して良いとは言えない成績だな。1番人気馬が全敗ってのも印象的だ。
ちなみに、上記のレースの中では土曜京都10Rと土曜東京12RがCHECKMATEで特大万券をお届けしたレース。手前味噌ながら後者はワタクシの推奨レースでした。沢山の的中報告誠にありがとうございました。
[5月18日(土)京都10R]
◎マイネルエニグマ(7番人気1着)
▲ロードマンハイム(2番人気)
★ドットクルー(4番人気)
馬連2点目:3340円的中
3連複:1万1310円的中
3連単:7万8000円的中
[5月18日(土)東京12R]
◎マテンロウガイ(5番人気1着)
★トクシースタローン(3番人気)
△トーセンクライスト(7番人気)
馬連3点目:3180円的中
3連複:1万3570円的中
3連単:6万7610円的中
この高配当の背景にも『モレイラで前走好走した馬が人気⇒乗り替わりで大敗』というのは少なからずあったよね。
冒頭でも述べた通り、モレイラの短期免許期間は残り2週間。そしてその期間内で中央GIを勝てなければ、次の来日見込みが全く立たないということになる。そうなると、この期間内でモレイラが跨った馬は、そのすべてが【次走・乗り替わりになる】ということだ。
そこでぜひ知っておいていただきたいのが『モレイラから乗り替わった馬』の次走成績だ。先週はたまたま勝たなかった馬が多かったのか、それとも恒常的に成績が下がっているのか。その結果は……!
勝 率:27.1%
連対率:46.6%
複勝率:56.3%
乗り替わり時の成績(2023年以降)
勝 率:13.1%
連対率:28.1%
複勝率:37.3%
継続騎乗した場合の成績(2023年以降)
勝 率:31.3%
連対率:50.0%
複勝率:56.3%
このように、ざっと勝率が半減する。
こういう数字については、肌感覚で『そりゃ、乗り替わったら成績は落ちるだろうな』と思っている方は少なくないと思うが、それでも実際にどれくらい率が落ちるのかを見る機会はそんなにないと思うんだよな。
もちろん、その中には『モレイラで勝たせちゃった後の馬』が相当数加わるので、仕事をした後の馬が多かったり、昇級したりと“簡単に勝てなくなっている”という点には注意が必要だが、それでもここまで勝率に差があることに驚いた方も少なくないはず。
かつ、こういう数字を見ると「簡単に勝てる馬に乗っているだけ」という風には言えなくなるだろう。実際、モレイラが継続した場合の勝率と比較してみると、他ジョッキーに乗り替わった時との差が大きいからな。
このデータはモレイラの短期免許期間が終わってからが本格的に必要になってくると思うが、今のうちに覚えておいた方がイイだろう。マジックマンの凄さは、むしろいなくなってから分かるということだな。
ちなみに、この手の数字でやっぱり凄いなと思わせられるのが川田将雅騎手だ。モレイラの際に使ったデータと同じモノを引っ張ってくるとこうなる。
勝 率:31.3%
連対率:49.0%
複勝率:60.9%
乗り替わり時の成績(2023年以降)
勝 率:11.8%
連対率:24.3%
複勝率:35.2%
継続騎乗した場合の成績(2023年以降)
勝 率:34.2%
連対率:47.7%
複勝率:63.4%
この通り、川田から別の騎手に乗り替わった場合、勝率は約3分の1になる。
言葉を選ばずに言うが『騎乗馬を選別する目が正しい』のが川田の凄さのひとつでもある……と表現できるな。よく言えば“目利きが優れている”、乱暴に言えば“見切りが上手”というところか。
もっとも、川田クラスの騎手になるとどの馬でも過剰人気になる部分はあるから、継続騎乗だからといって全部買ってても仕方ないところはある。オレもより正確に川田の騎乗馬ジャッジができるように、良い取材と分析を重ねていくつもりだ。
加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

