ども、関西ジョッキーは大体トモダチ、加藤です。安田記念が終わっていよいよ夏競馬本番だ!
さて、GIがひと段落したこのタイミングでも日々の話題には事欠かない。ということで今日は、定期的にやっている“ネタ詰め合わせ”コラムとなります。
毎度のことながら、それぞれ1本ずつコラムにしても良いレベルの話題とボリュームではあるんだが、更新頻度とスペースの関係上まとめて掲載させていただきます。いつも長くてゴメンネ。でも全部チェックしていただけると幸いでございます。
好タイムで勝ったけど……
新馬一番星、ダノンフェアレディは出世しない説!?
先週から夏競馬の醍醐味のひとつ、2歳戦がスタート。東西で新馬戦が計5鞍実施された。
その中でも、6/1(土)京都5Rは見どころ十分だったな~。逃げたダノンフェアレディ(川田)と好位に付けたショウナンザナドゥ(池添)のマッチレースとなり、最後はダノンが押し切って今年の2歳世代最初の勝ち馬となった。
着順 | 馬名 | タイム・着差 | 上がり3F |
---|---|---|---|
1着 | ダノンフェアレディ | 1:33.8(良) | 33.8 |
2着 | ショウナンザナドゥ | 1/2馬身 | 33.8 |
3着 | ジャスタパーティー | 7馬身 | 34.8 |
馬場状態が良かったことも手伝っているとはいえ、この時期の新馬戦で勝ち時計が1分33秒台。3着以下をガッツリ離している点から、僅差で2着に終わったショウナンザナドゥも次はアッサリ勝ち上がる器だろう。今回の数字だけ見れば、ココの上位2頭は今後も楽しみになる。
さすがにこの数字は『先週の特記事項』コラムでラップ分析をよく展開している赤崎記者からしても目に留まるモノだったらしく、どちらも“重賞級”と太鼓判を捺されているぞ。
しかし……。
ちょっと気になるのは、ダノンフェアレディの鞍上・川田将雅が“新馬戦から逃げの競馬で勝たせた”という点なんだよな。
もちろん、スピード能力の高さでハナに行ってしまっただけ……というパターンもあるのだが、特に将来性のある若駒の場合、先々を見据えて控える競馬をさせることが多い川田としては意外な競馬内容で、個人的にはかなり珍しく映ったんだ。
で、実際にデータを掘り下げると、川田が逃げて勝たせた2歳馬って、実はそこまで出世してないんだよな。このデータを見てくれ。
川田将雅・2歳戦・逃げた時の成績
勝 率:53.8%
連対率:80.8%
複勝率:84.6%
※該当期間内の2歳戦騎乗数は292鞍。
その中で逃げた割合は8.9%
※新馬戦だけじゃなく未勝利戦以上のクラスも含む
この通り、そもそも逃げの手に出るケースがあまり多くない中で、結果として半数以上を勝たせているし、連対率・複勝率はとんでもない数字だ。
ところが、この26鞍……実頭数は22頭なんだけど、この中で今オープンクラスで活躍しているのがジレトールのみ。リステッドレース(22年アイビーS)を逃げて勝たせたチャンスザローゼスはその後未勝利のまますでに抹消。つまり、ほとんどが条件戦で留まっている。
この傾向から因果関係を測るのはカンタンじゃないんだけど、経験則や取材の感触を踏まえると、川田の逃げって“手っ取り早く勝たせている”フシが結構あるんだよな。
ダノンフェアレディに関しては、さっきも言ったようにこの時期の新馬戦としては数字が優秀であるという部分で先々の期待はあるけど、川田の騎乗スタイルや傾向を長年分析させてもらっている立場としては、この部分はどうしても引っかかる。
果たして、ダノンフェアレディの未来は……?
安田記念の裏で……
あのビクターザウィナー、現地で惨敗
先週の安田記念は◎ロマンチックウォリアーが勝利。その論拠についてご注目いただいた会員様から沢山の反響をいただくことができた。ありがとうございます。
その振り返り記事は我らが重賞担当・山川記者が書いてくれたのでぜひご覧いただきたい。
正直、馬券的には悔しいところも残ったけど、ここまでロマンチックウォリアーを研究し尽くして、かつ陣営の動向を長期的に追った結果、しっかり勝ってくれたという点では、ここまでの積み重ねが生きたとは思っている。
その中で、推奨理由としても引き合いに出したビクターザウィナーという馬を覚えているかな?
ロマンチックウォリアーと同じ厩舎の管理馬で、高松宮記念に連れてきていたアノ香港馬だ。当時は「今の日本のスプリント路線なら十分勝負になる」と◎本命に抜擢し、万馬券的中に貢献してくれたよな。
実はこの馬、安田記念当日に香港のレースに出走していたこと、流石にほとんど知られていないだろうな。
そして、高松宮記念同様にハナを切った挙句、直線でアッサリ飲み込まれて惨敗を喫している(8頭立ての6着)。
下線がビクターザウィナー
(VICTOR THE WINNER)
香港ジョッキークラブから引用
まあ、香港競馬って“シーズンの始まりが秋で、今の時期は最終盤(夏はお休み)”だから、もう余力が残ってなかったという可能性はあるがな。ビクターザウィナーは今シーズン9戦目だったし、しかも間に日本遠征を挟んでいるワケだから。
にもかかわらず、日本馬を圧倒したロマンチックウォリアーって本当にモンスター級の強さだよ。
ちなみに、陣営はロマンチックウォリアーの祝勝会みたいな会場で映像はチェックしていたようだ(笑)。裏を返せば、日本か自国か、どちらに力が入っていたか……は今更説明する必要はないだろう。
安田記念も終わり、今回の香港勢は帰国の途に就いたので、しばらく海外競馬絡みでガッツリ研究することはなさそうだが、今回の情報内容から“CHECKMATEって本当に色々やってるのね”という点が伝わっておりましたら幸いでございます。
短期免許期間内にGI・2勝ならず
モレイラの今後はどうなる?
今回の短期免許期間の結果如何で、今後の来日チャンスが懸かっていたジョアン・モレイラは安田記念(ソウルラッシュ)で3着止まりとなり、期間内でGI・2勝のノルマは達成できなかった。
この結果、短期免許の資格を今後得るためには『JRAが定めた主要海外GIを2勝以上』あるいは『国によって定められた騎手リーディング基準』を満たす必要がある。
一応、ウルトラCとして“日本馬の海外遠征の際にモレイラを重用してなんとか海外GIを勝たせる”であるとか“JRA側が特例を作る”とか、可能性が無いわけではないが、現実的には厳しい立場になったと言わざるを得ない。
ただ、彼が自国ブラジルや諸外国向けの競馬メディアにこのところ喋っている内容を踏まえると、そもそも『引退』がそう遠くないんだろうな……とは思うよね。
すっかり忘れられがちだけど、近年のモレイラは股関節に爆弾を抱えながらの騎乗であり、2023年をもって引退する趣旨を述べていた時期もあったからな。
今年も随所にマジックマンと呼ばれるゆえんを見せてくれていただけに、できるだけ長く乗ってほしい気持ちはあるが、モレイラが今後どういう決断を下すのか、日本競馬から離れても追いかけておきたいところだ。
というわけで今週からモレイラの居ない日本競馬となるワケだが、前にも触れたように“モレイラからの乗り替わり馬”はくれぐれも要注意だぞ。
追悼・小林徹弥元騎手
いや~、日曜日に安田記念が終わった後、この報せを聞いた時は本当に驚いたと共に、ショックが大きかったよ……。
2019年に騎手を引退した後は千田厩舎で助手として活躍していて、騎手時代から変わらない人当たりの良さで親しまれていた。個人的にも好きな先輩ジョッキーの一人だったよ。
騎手時代は北海道シリーズの常連組としても馴染みがあって、飲み会の場とかでもムードメーカーだったんだよな。ただ、奥様が述べていたように“お酒好き”の面が健康を蝕んでいたのかもな……。
前日まで普通に馬に跨っていた身近な人間が突然居なくなるなんて、この前の藤岡康太の時もそうだったが、やっぱり辛いものがある。
謹んでご冥福をお祈り申し上げると共に、彼が愛した北海道シリーズを、彼の分までしっかりと楽しみたいという気持ちだ。それが故人への供養になるとオレは信じている。
……という感じで、この4テーマだけでもめちゃくちゃ長くなってしまったので、今日はここまで。
他にもネタのストックは山ほどあるんだけど、雑談が一生続きそうなのでまたの機会にします。
……え、水沼元輝のスマホ問題を喋ってくれ? 「大バカ野郎!骨の髄まで反省してちゃんと帰ってこい」の一言しかねえべ。
……え、ちょっと前に引退した某ジョッキーは祇園でバーを開店する? そんなの馬券には役立たないだろうぜ。
なんて与太話も色々持ってはいますが、そんなところで情報ネットワークの広さを誇示してもしょうがないので、夏競馬はまたイチからしっかり馬券を頑張らせていただく所存でございます。引き続き、一緒に盛り上がりましょうぞ!
加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。