個性派記者の本音トーク 加藤

【張本人よりも分かっている!?】騎手にも“アナリスト”が求められる時代が来る

個性派記者の本音トーク 加藤
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ども、今日は堅っ苦しい話題です。けど、大事な話だと思っているのでぜひお付き合いくださいませ。

突然だけど、オレの記者活動の裏にはこの世界のことを深く教えてくれた方々が沢山いる。元調教師の先生だったり、某新聞社から独立して活動している人だったり、経歴は様々だ。

その中でも特にお世話になっている人の中に、自分がトレセン取材を一通りやって、最終的な精査に入り始める毎週金曜の夕方くらいのタイミングで、電話で意見交換をさせてもらってる恩人が居てね。

その人との話の中で、『ジョッキーにも“アナリスト”的な立場の人間が就いて、レースの作戦や騎乗馬の分析を一緒に考える人間が居ても良いんじゃないか?』という話で盛り上がったんだ。

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※あくまでイメージです。

その人が特に強調していたのはこの辺りかな。

「能力が高い馬なのに、乗り方がまずくて結果を引き出せていないケースが今でも多い」

「トップジョッキーだからといって、必ず馬の特性に合っているとは言えない」

「乗り役が考えている作戦が馬の能力を殺していることもある」

……これ、個人的にも今考えていることと合致してくる部分が多くて、深く話し込んでしまったんだよな~。

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分析ツールが発展し続ける
令和の時代です

“アナリスト”の存在、あるいはデータ分析の有用性って、他の分野だと当たり前になってると思う。

それこそ、堀江記者佐山記者が大好きなプロ野球は、最近になってセイバーメトリクスの有用性がちゃんと語られるようになってきた。メジャーリーグだともっと先を行ってるんだけどな。

例えば『送りバントが実は得点期待値を下げている』っていう理解が広まりつつあるのもそうだし、出塁率と長打率を合算した【OPS】が評価基準として用いられてきたりもしている。けれども、12球団の監督の中にはこういう視点が明らかになさそうな人物も居るよな。誰とは言わないが。

他にも、ココ最近オリンピックの出場権をかけた大会が行われているバレーボールとかもそうだよな。コートの外でアナリストが全部データを取って、サーブで誰を狙うべきか、ブロックでどこに飛ぶか、リアルタイムの分析によって組織的に作戦が組まれている。ちなみにオレは高橋藍くんのプレーが好みだ(笑)。

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けれども、競馬に関しては、正直そこまで“分析”の土壌が育ってないと思うんだよ。

予想する側はデータやタイム分析を生かしていることも多い(山川記者が代表例)けれど、肝心の乗り役については、まだまだ“感覚”で乗っている部分が多いと思う。そして、それで上手く行ってない部分も目立つと言わざるを得ない。

その人曰く……、

『正直、分析家の方が馬の特徴を掴んでいるケースも多い』

『ジョッキーも考えて乗っている部分は分からないでもないが、的外れな騎乗も多いよ』

『まあ、中には調教師の指示のせいで、本人の考えで乗っていないのかもしれないけどね』

とのこと。コレ、公の場で言ったらかなり物議を醸しそうではあるが(苦笑)、けれども納得できる部分は多々あるんだ。

もちろん、感覚面で優れているのは間違いなく騎手の方だし、我々が競走馬に騎乗して走らせることはほぼ絶対に不可能ではある。理屈はコッチの方が正しかったとしても、その通りに馬を操縦することはできない。

けれども、外部から馬の走りを分析して、特徴を把握した上で、

『この馬は今後、距離を短くした方が良い』

『砂を被らせて走るのはNG。次は序盤から外に付ける意識をしてほしい』

『最近は控える競馬をしているけど、後ろに脚を使わせるような逃げを打った時が一番良いパフォーマンスを見せている』

という風なアドバイスを送ることはできるし、外部から見てしっかりとレースの内容やタイム分析をしている人間の方が正しい視点を持っている……というケース、実はかなりあると考えている。


これも、他のスポーツ分野でもそうなんだよな。采配批判やプレー批判に対して「やってもいない人間が言うな!」という声を挙げる人は多いと思うけど、その中には本当に的を射ているものも存在するし、分析ツールが発達した現代だと、むしろ外部の声の方が正しい場合が増えてきている。

※もっとも、この件については“誰もが意見を発信できる時代”になったせいで、度を超えた批判や、言い方が悪いせいで誹謗中傷みたいな内容を対象に投げつける時代になっちゃってるのは良くないと思うけどな。

結構大真面目な話のつもりではあるんだが、現段階ではまだそこまで理解されない話だとは思っている。それを前提で、このテーマで今後何回かに分けて書けたら良いな。夏競馬期間中に色々と連載していくつもりなので、ぜひご注目いただきたい。

特に“ジョッキー批判”について、アレルギーを持っている人って結構多いと思う。中には「本当にそうなのか?」と疑う方も少なくないだろう。

けれども、このテーマはそういう方たちにこそ読んでいただきたいし、何よりもご納得いただけるような日々の取り組み方をやっていくことが、騎手情報担当としての使命だと思っている。

そして、良い騎乗については『実はココが凄かったんだぞ!』というのを伝えていくことも、皆様に競馬をより深く味わっていただくために必要なことだと思うので、ソッチの方も忘れずにやっていくつもり。


というわけで、夏競馬本番は大レースの話題が減る分、こういった理論的な部分の話もやっていこうと思っている。皆様からのご意見も大歓迎です。ぜひご注目いただけると幸いです。

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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