
加藤です。騎手情報担当としてはメチャクチャ楽しみな週末だぜ!
以前から何度か話題にしてきたが、今週末は夏競馬終盤戦の風物詩、ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)が開催される。
国内・国外のトップジョッキー達による競演が今年も楽しみな上に、今年から『外国人騎手は総合5位以上に入れば、短期免許の取得条件を満たすことができる』というルールが加わったことで、見所がさらに増えた。
CHECKMATE、というかオレが春から一貫して書いてきた【ジョアン・モレイラの短期免許問題】がどうなるかが、ここで一旦決着することになる。
ということで、今日はズバリ“モレイラはWASJで5位以内に入って、来年からの短期免許の資格を獲得できるのか”を占ってみようじゃないか。

モレイラさん、出陣です
抽選の結果……
モレイラのWASJ騎乗馬はどうよ?
ご存知の方も多いと思うが、WASJについてはそれぞれのレースでJRAがA~Dランクと出走馬を割り振り、抽選で騎乗騎手が決定される。なるべく騎乗馬の質が平等になるように、各ランクに1頭ずつ騎乗するワケだ。
そんでもって、結論から言うと、個人的には『モレイラは結構良いラインナップじゃないか?』という感触だ。まあ、ココについて特に忖度とかは無いはず……とは言っておくけどな(笑)。
では、早速WASJ対象4レースで騎乗する馬について掘り下げてみよう。
■1戦目(8/24札幌10R、2勝クラス、芝1200m)
騎乗馬:コーティアスマナー(Aランク)
初戦でAランクが当たったというのが後半にどう響くか(※良い馬を先に消化する形になるので、ココは是が非でも結果が欲しい。不発に終わると精神的に後がキツくなると思う)は気になるが、馬としては良いのが当たったと思う。
前走(6/8函館11R)は初の1200mにもしっかり対応していたし、自在性があってモレイラと合いそうな馬だ。3歳牝馬ということで、他馬よりも軽い54キロで出走できるのもプラス材料じゃないかな。
なお、このレースのAランク評価は自身含め3頭居るんだが、中でもクファシルは甲乙付けがたい馬だと思う。
ただし、ヴィアドロローサに至っては、デビューから2連勝後は21戦未勝利なんだよな。昨年夏に2着⇒2着⇒3着と立て続けに好走した後は、丸1年馬券に絡んでいない。……コレがAランクって、騎乗する川田にとっちゃ厳しくないか?
それなら、昇級初戦だけど1勝クラスの時から大崩れしていないバシレウスシチーや、2走前に2着があるカイカノキセキがAランクの方がまだ理解できた気がする。
■2戦目(8/24札幌11R、3勝クラス、芝2000m)
騎乗馬:ルージュアルル(Dランク)
これは妥当なDランク評価だな。3勝クラスに昇級してから4戦して9着⇒8着⇒16着⇒11着。どれも見せ場なく敗れている現状だ。
名門・国枝厩舎の管理馬で、2歳時には「ハーツクライ産駒らしい緩さはあるけど、先々良くなってくると思う」なんて評価を与えられていたことはあったし、3勝クラスまで来た時点で決して悪い馬じゃないが、ちょっと現級が壁になっている。これは1点(10着以下)でも仕方なし。それ以上稼げれば万々歳かな。
■3戦目(8/25札幌10R、2勝クラス、ダ1700m)
騎乗馬:サムハンター(Bランク)
これがBランクなのはかなりラッキーじゃない?
昨年秋に2勝クラスに昇級してからは6戦して2着が2回。先行してどれだけ粘れるかというタイプなだけに、展開が厳しくなると最後に沈む可能性はあるけれど、そういう馬を如何にして持たせるかはモレイラの腕の見せ所だろう。
それに、この馬は前走(7/21札幌10R)が休み明けでの出走で7着。そこからの上積みは見込めるだろうよ。
加えて、このレースはAランク評価の4頭が『結構、辛いな~』という気がしている。
特にアレクサは昇級してからの約1年で9戦して(0-1-0-8)にもかかわらず、2走前のハナ差2着が拾われた感じのA評価。オールマキシマムは終いの脚力はあるが、昇級2戦で7着⇒4着だ。
スズカマジェスタはダミアン・レーン騎乗という点は面白いが、2年前に昇級してから2着2回・3着1回はあれど勝ち切れず。ビーアイオラクルに至っては同じく2年前に昇級してから2着6回・3着2回でコレも勝ち切るには至っていない。
それらと現級での実績がそう見劣らない、むしろ上位にあたるサムハンターで得点が稼げれば、上位進出がかなり見えてくるぞ。
■4戦目(8/25札幌12R、2勝クラス、芝1800m)
騎乗馬:エゾダイモン(Cランク)
これがCランクなのも結構恵まれているというか、上位争いの希望があるんじゃないだろうか。
2勝クラスに昇級してから2戦は4着⇒11着とそこまで結果は出ていないが、2走前はレース上がり33.3秒の末脚を披露している。
WASJのような騎手のポイントを争うレースは、基本的に仕掛けが早くなりがち(ポイントが欲しい騎手が動くから)と個人的には分析していて、レース全体のペースアップが早くなれば、最後にこの馬の浮上は十分考えられると思っている。
また、このレースでAランクに指定されているのがエグランタイン、ジャスティンアース、マイネルブリックスの3頭なんだけど、どれも結構見込まれた気がするんだよな。
エグランタインは現級好走歴は多いけど約2年間勝ち切れておらず。ジャスティンアースは昇級初戦の前走が5着、マイネルブリックスに至っては昇級初戦だ。
後者2頭は3歳馬なので斤量面ではアドバンテージがあるが、このクラスで確実に通用するとは断言できない段階でAランクをもらったのは、決して楽じゃないと思うんだよな。
加藤の優勝予想
ということで、個人的にはモレイラの上位進出は十分にあると考えている。その上で、他に優勝争いになりそうなジョッキーを予想してみようか。
これも結論から言うと、騎乗馬が噛み合いそうだなと思っているのはルメールとユタカさん(武豊)だ。
この2人は騎乗馬のランクが同じ順番で回ってくる(D⇒A⇒B⇒C)ので、Aランク馬でどちらが勝つかが明暗を分けそうなんだけど、そのAランク2頭の上位争いが十分期待できそうなんだよな。
第2戦で激突するシュバルツクーゲル(ルメール)、マイネルエンペラー(武豊)の2頭は文句なしのAランク評価だろう。
あと、ユタカさんは1戦目で騎乗するDランクのトリップトゥムーンが“上手く着拾いで得点を稼げる可能性が結構ある”馬だと思っている。先行力は無いが終いの脚は確実なので、何頭交わせるかがポイントになるんじゃないかな。
WASJは日本で乗り慣れていない騎手も多く、また普段は見られない騎手・厩舎コンビもある。またポイントを争う性質上、レース展開が読みづらいこともあって、馬券勝負という意味では慎重になる場面も多いが、見ていて楽しいイベントなのは間違いない。
ぜひ、皆様も『誰が優勝するのか?』と予想しながら見ていただけたらと思います!

加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。