
いや~、WASJの優勝予想はほぼ見立て通りでしたね。騎手情報担当の加藤です。
コラムに入る前に……。
山川クンや堀江さんを筆頭に盛り上がっている“例の件”について少々。
確かにオレから見ても『コレ、前走のパフォーマンスを考えたら余裕でチギるな』と納得できる存在だった。
個人的には後は相手関係の精査だけだと思っているが、馬主サイドや牧場サイドも含めて、今は色々と折り合いを付けている最中らしい。それで詳細発表まで時間がかかっているとのこと。規制もかかってそうだしな。
今週の勝負話を待ってくださっている方には申し訳ないが、オレとしてはココから先、この前の“緊急関係者情報”みたいな極秘話から、普段の情報まで良い話がゴロゴロある。ぜひお楽しみに!
さて、今日の記事の本題は先週開催されたワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)について。
オレは春競馬から再三『ジョアン・モレイラの短期免許問題』についてピックアップしてきた中で、
「WASJのルール改正によってモレイラにチャンスが生まれた」
「抽選で選ばれた騎乗馬はかなり恵まれている」
という話を先週のコラムでさせてもらった。あと、優勝候補の一角はユタカさん(武豊)とルメールってのも喋ってたな。
ズバリ、結果はこうなった。
①モレイラ 64点
②武豊 55点
③坂井瑠星 51点
④ルメール 45点
⑤ティータン 41点
モレイラは見事に優勝。まるでシナリオが決まってたんじゃないか? なんて考えてしまいそうな結果だよな(笑)。
これを“忖度”って表現するのは、まあ簡単なことかもしれない。実際、モレイラにとっては僥倖のルール変更だったと思うし、騎乗馬抽選もラッキーだった。そこを疑う気持ちも分かる。
けれども『5位以内でイイよ』というルールに対して、優勝して条件を満たすんだからスーパースターだよな。“余計な心配は無用だ!”的な意地を感じたよ。
騎乗馬の質から上位争いになると見てはいたけど、最終戦をエゾダイモンで豪快に差し切って大逆転ですから参りましたわ。
ちなみに、このレースでは2着だったエグランタインの鞍上・坂井瑠星にジョッキーカメラが着けられていたんだけど、ゴールする瞬間のリアクションの対比が面白い。
エグランタイン(坂井瑠星)の
ジョッキーカメラ
ゴール直後、瑠星の「アーーーークッソ!!!!!」と思わず漏れた悔しさとの対比で、外から聞こえてくるモレイラの「Foooooooooooooo!HAHAHAHA!」という歓喜の声。ドラマチックな瞬間だよな。
余談だけど、スタート直後で落馬したシックザイン以外のA~Cランクをキッチリ3・3・2着でまとめて上位争いに食い込んだ瑠星も大したモンだと思う。本当に成長してるよね。
ユタカさんはCランクのティアップリオンで勝った3戦目が恐ろしいです。モレイラには申し訳ないけど、同じCランクでもエゾダイモンより相当厳しい馬だったと思います。
この場面、勝ったモレイラ(エゾダイモン)と2着だった瑠星(エグランタイン)との差はクビ差だった。ついでに3着のユタカさん(アマイ)はそこからハナ差だ。
この3名がタイム差なしの大接戦となり、『最後に1着で入線した人間が優勝』という状況だった。そりゃあ瑠星は悔しいだろうし、モレイラからすると単に優勝ってだけではなく“コレで来年からも日本で乗れるぜ!”という喜びでいっぱいだろう。
こういうジョッキー達のリアクションが多くの方の目に留まるようになったのも、ジョッキーカメラという施策のおかげであり、テクノロジーの進化でもある。
さて、ココでもう一つの話題。
今年のWASJの結果によって、5位以内に入ったモレイラとカリス・ティータンには来年・再来年の短期免許を取得する権利が与えられた。ティータンはそもそも、当初出場予定だったリサ・オールプレスの代打での出場だった上に、結果を残したことで嬉しいオマケまで付いてきたってところだろう。
ただ、この両名の姿が次に日本で見られるのは来年……かと思いきや、どうも今年中にもう一度来日する可能性があるという。それが秋のGIシリーズ開幕戦・スプリンターズSだ。
実は香港からすでに2頭の参戦が表明されていて、その2頭の鞍上が先述の両名になりそうだという話を聞いたんだ。
来日予定の香港馬たち
ビクターザウィナー(セ6歳)
高松宮記念3着の際に◎本命指名⇒万馬券的中。なんと秋はモレイラが騎乗予定だと!?
ムゲン(セ6歳)
こちらにティータンが騎乗予定との話。自国でもこの馬の主戦を務めている。
いや~、ビクターザウィナーに騎乗予定という話を、自国・香港メディアの記事で見た時には流石にビックリしたよ。
色々と複雑な経緯こそあれど、モレイラは長年の拠点としていた香港から身を引いた立場だ。中には、彼のことを快く思わない関係者が居ても不思議ではない。
その背景があるだけに、ここで香港の有力馬に騎乗する機会が回ってくるというのはなかなかに衝撃だよ。
見方を変えると、陣営からすれば「日本で乗り慣れていて、腕が保証できる騎手が乗れるなら是が非でも」ってことなのかもしれない。
ただでさえ高松宮記念で日本への適性に手応えを持っていると思う上に、3着とはいえ直線で外に持ち出した結果、走るのを避けたラチ沿いから2頭に差されるという、トラックバイアスを考えると惜しい競馬をしているからね。
そして、WASJウィークのように外国人ジョッキーの来日に合わせた、別レースでの勝負馬ってのも浮上してくるだろうか。この辺りの話は後日、特殊な情報ルートに取材が叶いそうなので、ぜひ楽しみにお待ちいただきたいところ。
こんな風に、楽しい楽しい秋競馬への話が続々と増えてきている。昨年の秋も序盤でガッツリと良い流れを作り、黒字収支の結果も出した。今年の秋も序盤からぜひご期待ください!

加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。