どうも、関西ジョッキー事情に詳しい自分が今日は質問にお答えします。加藤です。
いやあ、秋になりまして、いよいよ今週から始まりましたね。
Mリーグが。
プロ麻雀リーグとして設立されて今年で7シーズン目。自分は特に推しチームは無いし、仕事柄すべての対局を追っているワケではないけど、それでも“スキマ時間”に楽しませてもらっている。
トレセン界隈にも麻雀好きな関係者は結構多い。有名なところで言うと、美浦では吉田豊さんはガッツリとMリーグも見ているという話だし、栗東では障害ジョッキーの黒岩悠なんかも知られているよね。
あと、栗東・西園正都厩舎にサトノフェニックスって馬が居るだろう?
ダート路線で活躍中の3歳馬
今年は海外遠征も経験
あの馬は、Mリーグのチームのひとつであるセガサミーフェニックスから名前が取られている。オーナー企業であるセガサミーホールディングスの会長といえば、あの里見治氏だ。
その他、すげえディープな話になるけど、大井競馬のジョッキー・達城龍次のエージェントは女流雀士としても活躍している人なんだよね。これはなかなか不思議な縁な気もする。
余談だが、つい最近も競馬サークル内の関係者とセットで3半荘くらいしてきて、非常に楽しい時間と、有意義な情報交換をさせてもらったのはココだけの話だ。
親で手なり8000オールをアガって
顰蹙を買いました(苦笑)
ドラが暗刻、そして裏ドラも3枚……
そんなMリーグと言えば、今シーズンはまだ2日(4試合)が終わったばっかりだけど、“東家”の成績が良くないとか……。これも西高東低、ナンチッテ。
ハイ、冗談はさておき……今日はこんな質問が来ておりましたので、それをご紹介しましょう。
荻野極騎手が7月後半から関東で乗っているのですが、修行的な目的があるのでしょうか?
なるほど、なかなかマニアックな視点ですね。ご質問をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
こういう素朴な質問でも大歓迎です。取材や分析活動で時間がなかなか取れない時もあるし、内容によってはお答えできないことも当然あるが、可能な限り我々記者勢でピックアップしていきたいと思っております。
荻野極、関東圏に活路を見出す?
さて、まずは荻野極(以下“キワム”と呼びます)のデビューからの成績を見て行こうか。
年 | 着別度数 | 順位 |
---|---|---|
2024年 | 18-14-18-232 | 42位 |
2023年 | 17-15-14-277 | 59位 |
2022年 | 24-13-18-310 | 45位 |
2021年 | 16-12-16-221 | 59位 |
2020年 | 18-20-22-327 | 54位 |
2019年 | 21-26-25-377 | 49位 |
2018年 | 30-32-36-513 | 35位 |
2017年 | 47-45-52-573 | 21位 |
2016年 | 20-22-24-376 | 50位 |
競馬学校32期生で、同期には菊沢一樹、木幡巧也、坂井瑠星、藤田菜七子、森裕太朗という顔ぶれだ。もっとも、木幡巧と森裕は1年留年しているので、入学は1年早かったが。
これは上記の質問の答えの一部にもなるんだが、キワムは出身が東京なんだよな。加えて、中学時代には空手の世界大会で4位になった異色の経歴の持ち主としても話題になった。
先週時点で通算211勝(※JRAのみ)。2022年にはジャンダルムでスプリンターズSを勝ってGI制覇も成し遂げている。この時点で十分、誇れることである。
ただ、勝利数で言えばデビュー2年目の2017年の47勝をピークに、決して良い数字とはいえない。まあ、減量特典が無くなることで注目度が下がっていくという、伸び悩む若手の典型的なパターンでもあるんだよな。
それと近いタイミングで、翌2018年の6月上旬に所属していた清水久詞厩舎を離れてフリーに。その時に何か重大な問題があったワケじゃないはずだけど、それを機に師匠からの依頼はパタッと止まったんだよね。
年 | 着別度数 | 勝率 |
---|---|---|
2024年 | 0-0-0-0 | 騎乗無し |
2023年 | 0-0-0-0 | 騎乗無し |
2022年 | 0-1-0-0 | 0.0% |
2021年 | 0-0-0-2 | 0.0% |
2020年 | 0-0-0-0 | 騎乗無し |
2019年 | 0-0-0-0 | 騎乗無し |
2018年 | 1-4-2-32 | 2.6% |
2017年 | 5-5-7-32 | 10.2% |
2016年 | 2-3-2-28 | 5.7% |
一見すると2018年も弟子をコンスタントに乗せていたようにも見えるが、この年の数字はすべて『キワムがフリーになる前』……すなわち厩舎に所属していた時のもの。フリーになって以降はわずか3鞍しかコンビを組んでいない。
先述したように、元々東京出身で、かつ“競馬村の出自じゃない”(=トレセンに縁故が無い)となると、なかなか新たな縁も作りづらいという側面は少なからずあったはず。その辺りもあって、良い出会いに恵まれなかったのかもしれない。
あと、ぶっちゃけ今のエージェントの評判も微妙だったりするのはネックだと思う。あまり大声じゃ言えないが。
そんな中で、ご質問にあったように、ココ最近は関東に活路を見出しつつある。
元を辿ると、2023年の秋競馬の時に「自分はローカルの新潟・福島が拠点で、関東馬の依頼をもらうことも多いので、そういう馬の調教に乗っておきたい」という目的で美浦滞在をしていた時期があった。
その時の新潟・福島開催では2勝止まりだったんだけど、東西別の騎乗数で言えば【関東馬24頭・関西馬14頭】と、少なからず美浦で顔を売った成果は出ていたんだよね。
その甲斐もあって、特に鹿戸雄一厩舎がかなり重用してくれるようになったのは大きいな。デビューした2016年~2023年まで、わずか4鞍しか騎乗機会がなかったのに、今年だけで(4-3-2-23)と32鞍もの依頼があった。もちろん、本人がある程度結果を残したのも要因のひとつだ。
現状、関西圏でもキワムを乗せる厩舎が無いわけではない。それこそジャンダルムの縁がある池江泰寿厩舎や、直近ではセレシオンとのコンビが認められつつある友道康夫厩舎といったところは、ローカルで騎乗する時に声がかかることもある。
ただ、本人の現状の立場や、元々が関西気質の人間では無い(※決して悪いヤツではないよ)ことを考えると、今の選択はそう間違っていないと思うんだよな。これがオレの回答の結論となる。
個人的にはデビュー当初の姿から知っているだけに、仮に今後“拠点を関東にする”と宣言した場合は寂しくもあるが、本人がそっちの方が活躍できると判断したなら心から応援したいと思っている。
そんなキワムは今週末、土曜日・中山⇒日曜日・中京というなかなかにタイトなスケジュールを組んでいる。
オマケに、水曜日にトレセン界隈で出回る出走想定表を見る限り、中山では最終レース(高木登厩舎のマンマリアーレ)しか騎乗予定が入っていない。裏を返せば、現状の立場を理解した上で「この馬のためなら一頭でも中山に乗る」という考えはありそうだ。
1勝クラスをキワム自らの
手で勝たせている
このレースは例によって、関西陣営から何頭か気になる馬も遠征予定なんだが、そんな中でキワムがどういった騎乗を見せてくれるかは楽しみにしておきたいところだ。せっかくの機会なので皆様もぜひこの馬の存在は覚えておいてもらいたいね。
加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。