
ども、騎手情報担当の加藤です。
今週は一年の競馬を締めくくるグランプリレース、有馬記念だ!
去年はユタカさん(武豊騎手)が怪我から復帰しドウデュースを勝利に導いたドラマがあったよな!秋三冠と有馬記念連覇がかかってるわけだが…。
ドウデュースは今年も去年と同じようなレースをするのか調査が必要だなぁ~。
なんのことだって???
それは有馬記念には好走パターンの一つとして、ロングスパートをかけて『好走ポジション』にたどり着く必要があるということだ!

一つの好走パターンとして受け取ってくれ!
中山2500mの特徴について
好走パターンを知る前に、まずは中山2500mの特徴を知っておこう。その特徴については三つあげられる。まず一つ目が『小回りコース』であること。二つ目が『コーナーが6つ』あること。三つ目が『直線が310mと短い』ということだ。
そのため、内ラチ沿いを上手く回れる逃げ・先行馬が有利。実際に過去10年の成績を見てもらえば、前につけた馬の成績が良いことは一目瞭然だな。
脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
逃げ | 12-8-8-90 | 10.2% | 16.9% | 23.7% |
先行 | 52-48-46-226 | 14.0% | 26.9% | 39.2% |
中団 | 34-42-42-352 | 7.2% | 16.2% | 25.1% |
後方 | 6-7-10-330 | 1.7% | 3.7% | 6.5% |
マクリ | 5-2-2-17 | 19.2% | 26.9% | 34.6% |
逆に後方から差す馬の成績は低い。これは直線が短いのが関係してそうだな。有馬記念でも後方からレースを運んだ馬の成績はというと、過去10年で4コーナー位置が7番手以下の成績は[1-4-5-80]だった。
実は1頭しか勝利していないんだ。2019年に勝利したリスグラシューのみなのだが、このレースは特殊で前半1000mが58.4秒とかなりのハイペースで前がバタバタとなった展開だった。この年のみ4コーナー位置が7番手以下で1~3着決着だった。それだけ後方一気が難しいことが分かる。
更に興味深いデータを見つけたのだが、4コーナー位置が3番手以内の成績は[7-3-4-26]と勝ち馬のほとんどが3番手以内にいるんだ。
実は去年勝利したドウデュースも4コーナー3番手にいたんだよ!

あれ?ドウデュースって後方から上がりを使う馬だったよな。なんでその位置にいるんだ???
そういえば、一昨年のイクイノックスも4コーナー3番手で勝利したな!
ロングスパートをかけて『好走ポジション』を目指せ!

作ってみたのだが……。オレはデザイナーじゃないので、こんなのしか作れなかった(笑)
これは2回目の4コーナーから直線に進入する際の『好走ポジション』を表した図になる。オレンジ色のポジションは、先頭の一番外に立った馬を指しているのだが、実はそこの成績が高いことに気が付いたんだ。
有馬記念の過去5年、この『好走ポジション』にいた馬で好走したのは、5頭ほど挙げられる。
年・競走馬 | 着順 | 4コーナー位置 |
---|---|---|
2023年・ドウデュース | 1着 | 3番手 |
2022年・イクイノックス | 1着 | 3番手 |
2021年・エフフォーリア | 1着 | 5番手 |
2020年・クロノジェネシス | 1着 | 3番手 |
2019年・サートゥルナーリア | 2着 | 7番手 |
どれも他のG1タイトルを取ってる強い馬たちだな。しかも先ほどのデータでご紹介した有馬記念で成績が良かった4コーナー3番手にいた馬は【3頭】もいる。これをただ強い馬が『好走ポジション』にいて、好成績を残しているだけと流してはいけない。強い馬がロングスパートをかけてまで『好走ポジション』にいたい理由があると考えられる。
まず、5頭はどれも似たようなレースをしている。そのレースぶりは、3コーナー付近でロングスパートをかけて徐々に馬群の外を上がっていき、4コーナー地点では先頭集団にいて、勝利に導いている。
中山の直線は短いため、後方から差す馬の成績は低いというデータから見ても、瞬発力勝負をするよりもロングスパートをかけて押し切る競馬に徹する方が、中山2500mにおいては分がありそうだ。
去年でいうと、ドウデュースとジャスティンパレスで比較ができそうだな。
競走馬 | 通過順 | 上がりタイム | 走破タイム |
---|---|---|---|
ドウデュース | [13-8-3] | 34.3秒 | 2.30.9 |
ジャスティンパレス | [16-12-9] | 34.4秒 | 2.31.2 |
3コーナーではどちらも上がっていったが、4コーナーまで上がり続けロングスパートで勝負をかけたドウデュースに対し、ジャスティンパレスはそれに付いていけず、瞬発力勝負に切り替えた。
上がりタイムは0.1秒差しか変わらないが走破タイムは0.3秒差が開いている。レース全体の上がりタイムは35.9秒ということから、どちらも1.5秒ほど早いタイムだったわけだからどちらの馬もいい脚を使えていたことには間違いはないが、仕掛けるタイミングで差がついてしまった。

今年もこの2頭は出走するが、どういうレースをするかが勝敗のカギになりそうだな。
ロングスパートは至難の業
ロングスパートをかける競馬にはリスクも多いと思うんだ。どのようなリスクが挙げられるかというと。
②コーナリングで加速すると、遠心力で外に吹き飛ばされてしまうこと
ロングスパートを決めるには、スタートしてから3コーナーまでは前後を意識して、ロングスパートをかける際に外に出しやすい位置にいる必要がある。外へ出しやすい位置かつ、外過ぎず内過ぎずの位置をキープするべきであるだろう。
この道中の位置取りを失敗してしまうと2019年のアーモンドアイみたく直線で伸びないなんてこともある。
また、ロングスパートをかけるということは、中山の小回りコースを加速しながらコーナリングする必要があるが、遠心力で外に吹き飛ばされる可能性がある。
だが、先ほど挙げた5頭は決まって向正面または、3コーナーに進入する手前辺りで加速を始めている。既に加速をした状態で少し外目をコーナリングすれば、外に吹き飛ばされることなく、加速状態を維持できると考えられる。
そして、コーナリングの加速を活かして直線を進入することにより、馬の持続力を最大限に発揮することができ、3コーナーからゴールまでスピードが乗った状態で直線を押し切ることができるのではないだろうか。
3コーナーからロングスパートをかけた分、直線から瞬発力勝負をする馬よりも距離にアドバンテージができ、コーナリングから加速した馬に分があるのだろう。

『好走ポジション』にいた馬は、コーナリングのスキルがあったから吹き飛ばされずにロングスパートをかけることができた。
それだけ力がある馬だからこその結果だと思う。
ということで、今回は有馬記念の好走パターンの一つ、ロングスパートをかけて『好走ポジション』にたどり着く必要性を紹介させていただいた。
今年もドウデュースは同じ競馬をするのだろうか。今年のメンツを見てると逃げ馬がいないから、なおさら好走パターンが炸裂しそうな気もするが…。
馬の調子が良くないとできない好走パターンではあると思うので、騎手の作戦も含め、しっかりと見極める必要はありそうだな。そのために関係各所に調査して皆様に予想は提供させていただくので乞うご期待だ!

加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。