個性派記者の本音トーク 加藤

【有馬記念】どうしても気になるんだよなあ、この人馬。

個性派記者の本音トーク 加藤
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ども、騎手情報担当の加藤です。

有馬記念週ということで張り切って連闘だ。枠順抽選会までに書き上げるゾ!

昨日の記事では有馬記念の直近の傾向から、どういう馬が来る確率が高そうか……という“全体像”を見てもらった。

で、今日は有馬記念出走馬から個別の話をしたい。オレがどうしても気になる人馬が居る。

それが、今回は三浦皇成とのコンビで出走となったプログノーシス(牡6、栗東・中内田厩舎)だ。

プログノーシス

プログノーシス

恐らく、世間的には鞍上が中央G1を勝ったことがない皇成になったことや、有馬記念への舞台適性という点から懐疑的に見る向きが大きいと思うんだ。それは確かにそう。

オレとしても、中内田厩舎の主戦である川田将雅がコッチに乗っていないのは残念ではあった。まあ、川田が乗ることになったスターズオンアースに関してはココにきてキナ臭い状況になっちまっているが、今更コッチに乗り換えるのも無理だろうしな。

ただ、そういうマイナス面を踏まえた上でも、ちょっと今回は良い意味で気になる材料が揃っているんだ。それを今回はお伝えしていきたい。

①本当に距離適性は2000mまでなのか?

プログノーシスといえば、とにかく芝2000m路線にこだわってきた馬である。これまでの戦績を、使ってきた距離別で見てみよう。

■プログノーシスの距離別成績

芝1600m(1-0-0-0)
芝1800m(1-1-1-0)
芝2000m(5-2-1-3)
芝2040m(0-1-0-0)

『芝2040mの2着って何だよ』ってのは、オーストラリア遠征を敢行した前走・コックスプレート(G1)のこと。まあ芝2000mのくくりに入れてしまっても良いんだろうけど、一応ちゃんと書いておくよ。

ちなみに、芝2000m未満のレースを使ったのは2022年10月のリステッド・カシオペアSが最後だ。それ以降は徹底して芝2000m路線を歩んできた。2023年の天皇賞(秋)では3着に食い込み、当時は直前で乗り替わりの誤算があったとはいえ沈んだドウデュース(7着)に先着を果たしている。

この使い方を見ると、まあ適性は芝2000m程度……という認識で使ってきたんだろうなということは皆様にも伝わっているはずだ。恐らく今回も表向きには「距離がどうかな~」という話になっていると思う。


ただ、ここでオレが採り上げたいのが、昨年の香港・クイーンエリザベス2世カップ(G1)で2着に入った時に騎乗していたザカリー・パートン騎手の言葉だ。

パートン騎手のコメント

素晴らしい走りでした。ペースがとても遅かったので、直線でギアが入るのに若干モタモタしてしまいましたが、最後は素晴らしい脚を見せてくれました。

もし12月の香港ヴァーズに出走する機会があれば、今回以上に適応できると思います。

おや、世界的名手のひとりが、香港ヴァーズ……すなわち芝2400m戦への参戦を促しただと?


結局、このパートンの進言は受け入れられず……というか、恐らく厩舎やオーナーサイドの使い分けもあって実現していないまま来てしまったんだが(リバティアイランドと路線が被っているというのもある)、

ココにきてついに中長距離カテゴリーへの参戦を決めたというのは興味深いし、パートンの言葉なら信じてみても良いんじゃないかと思えるところ。

②ゲート難克服のキッカケがオーストラリア遠征に?

プログノーシスの戦績を振り返ると、とにかく“ゲート難”が付きまとってきた。

直近でいえば今夏の札幌記念(G2)で、ゲート内で川田が思わず大声をあげるほどの出遅れを喫し、4着に敗れたというレースもあったな。相手関係を考えると負けちゃいけないレースだったと今でも思うが。

▼当時のジョッキーカメラ映像▼

こういう馬だから、今回も後ろからの競馬になる可能性は高く見えるのは仕方がないところ。

ただ、このゲート難に関して、実はコックスプレートに向けたオーストラリア遠征中に“克服の兆し”が見えたらしい。


というのも、レース本番で騎乗することが決まったダミアン・レーンが、現地オーストラリアで有名な専門家を陣営に紹介して、ゲートの問題を解消するべく徹底的に訓練を重ねたという話だ。これも、レーンがオーストラリアの名手だからこそ生まれた機会と言えるだろう。

そして、コックスプレート本番では五分のスタートから道中は3番手のインで立ち回るという、日本では見られなかったようなレース運びを披露。

これは舞台となったムーニーバレー競馬場の直線が173mとかなり短い分、レーンが積極的な競馬をしたというのもあるが、課題だった出脚の遅さについては改善の兆しがハッキリと見えている。

もちろん、これが鞍上が皇成になって、かつ日本の競馬場で同じようにいくかどうかは分からない部分も大きいけど、前走のような競馬を経験した上で芝2500mへの距離延長という点も含めて、これまでより道中のポジションが大幅に改善される可能性はあるんじゃないだろうか。

③あのロマンチックウォリアーに迫った日本馬

ロマンチックウォリアーについては、CHECKMATEの会員様にとっては説明不要かもしれない。

ロマンチックウォリアー

ロマンチックウォリアー

香港競馬の現役最強馬で、今年は安田記念に参戦して完勝。つい先日も香港カップでリバティアイランドに1馬身半差を付けて勝利し、G1レース9勝目を挙げた。今や芝2000mのカテゴリーなら香港のみならず、世界的に現役最強格と言ってもイイだろう。

そんな馬に対して、先述したパートン騎乗時のクイーンエリザベス2世カップでは0.3秒差の2着、同年(2023年)暮れの香港カップでは5着ながら0.1秒差と肉薄できているのがこのプログノーシスである。


そう、これまでのレース内容や海外での動向、そして日本では決して得られなかった経験や関係者談を踏まえていくと、有馬記念という舞台で世間を驚かせてもおかしくないんじゃないかと思えてくるんだよな。


というわけで、この中間で多方面から探っている最中に、個人的に一番興味深い存在となってきたのがこのプログノーシスというワケ。

まあ、脚質的なところで言えば昨日の記事で言った“好走ポジション”に収まるかどうかはかなり微妙なところではあるんだが、一方で『ドウデュースが昨年同様のレースをするのであれば、それを目印について行けば自然と勝機は見えてくる』というところもある。

三浦皇成

三浦皇成騎手

それに、中内田厩舎の馬に三浦皇成というチョイスも、実は相性としてはそこまで悪くないし、今年はグランディアという馬での活躍もあった。馬券的にも堀江さんがお世話になってたっけな。そういう面が認められての依頼だと思うんだよ。

実のところ、皇成は来週のホープフルSの騎乗馬もかなりチャンスがあるんじゃないかと見ていたところだが、その前に突如訪れた大一番の騎乗。どういう風に乗ってくるかかなり楽しみにしている。思い切って一発狙ってほしいね。

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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