個性派記者の本音トーク 加藤

【日経新春杯】軽ハンデの馬を過信するべからず!

個性派記者の本音トーク 加藤
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ども、騎手情報担当の加藤です。

昨日は『武豊騎手の騎乗停止処分』に関する話題をしたが、今日は日経新春杯の馬券のポイントについての記事だ。

▼昨日の記事はコチラ

今週は中京芝2200mで行われるハンデキャップ戦、日経新春杯だ!

ハンデ戦ともあり、様々な馬が登録されている。中京芝2200mで行われた3歳重賞の神戸新聞杯(G2)を逃げ切ったメイショウタバルや、古馬になり順調にステップアップしているヴェローチェエラ、エリザベス女王杯(G1)で3着だったホールネスが上位人気候補だろう。

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ところでハンデ戦と聞くと、どんなことが思いつくだろうか。

真っ先に思いつきそうなのは、“ハンデ戦は荒れるレース”だろう。

ハンデ戦がなぜ荒れるのかは、山川クンの予想講座でも説明があった通り、JRAのホームページ上に『各出走馬に勝つチャンスを与えるよう決められた重量を負担させるレース』と説明している。

ハンデ戦では普段のレースでは見ないような軽ハンデの馬が居るため、チャンスに見えるから人気薄なら買いたい一頭の候補だよな。

だが、馬券のポイントは“軽ハンデの馬を過信するべからず!!!”だ。

ハンデ戦を得意としている騎手は?

まず初めに昨年(2024年)の騎手リーディング上位10名を確認いただきたい。

順位名前着別度数勝率連対率複勝率
1位ルメール176-105-68-24129.8%47.6%59.2%
2位川田将雅141-82-57-20129.3%46.4%58.2%
3位戸崎圭太133-112-85-44817.1%31.5%42.4%
4位坂井瑠星115-107-83-41815.9%30.7%42.2%
5位松山弘平113-113-81-52213.6%27.3%37.0%
6位横山武史102-87-54-48513.5%24.9%36.0%
7位鮫島克駿99-91-93-56711.6%22.4%33.3%
8位岩田望来89-71-92-52611.4%20.6%32.4%
9位武豊87-69-50-33416.1%28.9%38.1%
10位西村淳也81-68-92-6139.5%17.4%28.2%

ルメール川田が圧倒的な成績を叩き出しているな。騎乗数に対して約6割は馬券内に来ているわけだから圧巻の一言に尽きる。ただ、3位以降の騎手でも複勝率が3割~4割と馬券内に来ているな。

騎手によってコースや馬場状態など得意不得意はあるが、一年を通してこれだけの成績を残しているわけだからどんな条件でも勝利に導くことができると考えられるな。

芝中距離(1800~2400m)のハンデ戦が得意な騎手はというと……。

■過去5年の芝中距離ハンデ戦の勝率ベスト10
※30鞍以上
※2020年~2024年
名前着別度数勝率連対率複勝率
川田将雅21-12-10-2829.6%46.5%60.6%
ルメール19-9-8-3427.1%40.0%51.4%
岩田康誠8-2-8-2817.4%21.7%39.1%
横山和生6-4-0-2616.7%27.8%27.8%
武豊10-8-9-3915.2%27.3%40.9%
池添謙一9-5-4-4215.0%23.3%30.0%
戸崎圭太11-7-6-5114.7%24.0%32.0%
横山典弘6-4-6-2913.3%22.2%35.6%
西村淳也9-5-3-5512.5%19.4%23.6%
田辺裕信7-2-5-4312.3%15.8%24.6%

昨年のリーディング上位10名から5名がランクインしているんだ。ルメール川田はハンデ戦でもトップ2なんだよ。

芝の中距離ハンデ戦の上位10名は、G1を多く勝利しているベテラン騎手が名を連ねているな。

ハンデ戦では馬の能力がフラットになるため、能力を最大限に引き出す必要がある。G1や重賞を最前線で活躍するベテランの騎手だからこそ、ハンデ戦でその経験が活きるのだろう。

ただ他にも気にするポイントがありそうだ。昨年のリーディング上位10名でハンデ戦にランクインしなかった若手騎手の成績を確認していただきたい。

名前着別度数勝率連対率複勝率
坂井瑠星3-7-6-464.8%16.1%25.8%
松山弘平19-9-8-348.6%21.0%32.1%
横山武史8-2-8-287.9%12.7%20.6%
鮫島克駿6-4-0-266.9%6.9%17.2%
岩田望来10-8-9-394.2%12.7%19.7%

昨年リーディング4位だった瑠星(坂井瑠騎手)複勝率で見ると4回に1回は馬券に絡んでいるが勝率は4.8%と勝ち切れていない。

他の4名も勝率は1桁台なんだよな。たくさん勝ち星を重ねていてもハンデ戦で勝ち切れない騎手もいるんだ。

ただ、昨年リーディング上位の若手騎手は、約5回に1回馬券内に来ているのだから、ハンデ戦でも注目する必要がありそうだが、勝率が低いのには理由がありそうだよな。

軽ハンデの馬を過信するべからず!

理由を考える前に、過去5年(2020年~2024年)の芝中距離ハンデ戦の牡馬・セン馬と牝馬の『斤量』成績についてご確認いただきたい。

■牡・セン馬
斤量着別度数勝率連対率複勝率
50kg0-0-0-120.0%0.0%0.0%
51kg0-0-2-170.0%0.0%10.5%
52kg1-2-1-511.8%5.5%7.3%
53kg12-9-9-1815.7%10.0%14.2%
54kg37-32-38-4656.5%12.1%18.7%
55kg57-54-49-5538.0%15.6%22.4%
56kg44-47-46-4078.1%16.7%25.2%
56.5kg1-1-2-145.6%11.1%22.2%
57kg29-29-23-18610.9%21.7%30.3%
57.5kg5-3-4-2912.2%19.5%29.3%
58kg7-7-3-3014.9%29.8%36.2%
58.5kg1-1-3-145.6%11.1%22.2%
59kg2-0-2-522.2%22.2%44.4%
59.5kg0-0-0-10.0%0.0%0.0%
■牝馬
斤量着別度数勝率連対率複勝率
~48kg0-0-1-00.0%0.0%100.0%
49kg0-0-0-50.0%0.0%0.0%
50kg5-3-0-2117.2%27.6%27.6%
51kg2-2-3-772.4%4.8%8.3%
52kg6-17-20-1692.8%10.8%20.3%
53kg13-19-18-2304.6%11.4%17.6%
54kg23-15-18-13312.2%20.1%29.6%
55kg5-7-10-506.9%16.7%30.6%
55.5kg1-1-1-89.1%18.2%27.3%
56kg3-3-0-1812.5%25.0%25.0%
56.5kg0-0-1-30.0%0.0%0.0%
57kg0-0-0-10.0%0.0%0.0%

芝中距離のハンデ戦において、牡馬・セン馬、牝馬ともに斤量が重くなるにつれて、成績が良くなっているな。実力上位の馬はハンデの影響を受けても実力で押し切れる。逆に斤量が軽いほど成績を落としていることが分かる。

上記を踏まえて、瑠星の芝の中距離ハンデ戦の成績を確認していただきたい。

過去5年の芝中距離ハンデ戦における坂井瑠騎手の斤量別成績
(2020年~2024年)
■牡・セン馬
斤量着別度数勝率連対率複勝率
53kg0-0-0-30.0%0.0%0.0%
54kg0-1-0-100.0%9.1%9.1%
55kg0-2-0-70.0%22.2%22.2%
56kg1-1-2-79.1%18.2%36.4%
57kg2-0-1-333.3%33.3%50.0%
57.5kg0-0-0-10.0%0.0%0.0%
■牝馬
斤量着別度数勝率連対率複勝率
52kg0-0-1-10.0%0.0%50.0%
53kg0-1-1-60.0%12.5%25.0%
54kg0-0-1-30.0%0.0%25.0%
55kg0-1-0-59.1%18.2%36.4%
56kg0-1-0-133.3%33.3%50.0%

牡馬・セン馬の斤量57㎏で2勝しているが、2023年のセンテニアル・パークS(3勝クラス)に出走したエンペザーと、2023年博多S(3勝クラス)に出走したダンテスヴューはどちらもトップハンデでの勝利だった。

勢いのある若手騎手は、軽ハンデの馬に騎乗する機会も多いため、ハンデ戦では勝率が高くないことが分かる。

ベテラン騎手が軽ハンデの馬に乗るケースは少なくなりがちで、騎手の体重的に騎乗を断ったり、実績のある馬に騎乗することが多かったりすることがある。だから、軽ハンデの馬が若手騎手に回って来るわけだな。

なので、勝ち星が多い若手騎手がハンデ戦で軽ハンデの馬に騎乗する場合は割り引く必要がありそうだな。

瑠星程になると、軽ハンデの馬でも有力馬が回って来るが、斤量別の成績を見ていただいた通り、なかなか勝ち切れていないのが現状である。

そのため、芝中距離のハンデ戦における勝率上位の騎手をベテラン騎手で占めていたのは、斤量が大きく関係していそうだよな。

ただ、芝中距離のハンデ戦において、注目したい若手騎手がいる。昨年のリーディングでも芝中距離のハンデ戦でも上位に入った若手騎手の淳也(西村淳騎手)だ。彼の成績を確認していただきたい。

過去5年の芝中距離ハンデ戦における西村淳騎手の斤量別成績
(2020年~2024年)
■牡・セン馬
斤量着別度数勝率連対率複勝率
53kg1-0-0-233.3%33.3%33.3%
54kg0-0-0-90.0%0.0%0.0%
55kg5-1-1-833.3%40.0%46.7%
56kg1-2-0-98.3%25.0%25.0%
57kg0-1-0-00.0%100.0%100.0%
57.5kg0-0-1-00.0%0.0%100.0%
■牝馬
斤量着別度数勝率連対率複勝率
52kg0-0-0-10.0%0.0%0.0%
53kg0-0-0-60.0%0.0%0.0%
54kg0-0-1-60.0%0.0%14.3%
55kg1-0-0-420.0%20.0%20.0%
56kg1-0-0-150.0%50.0%50.0%

ハンデ戦では、瑠星の3勝に対し、淳也は9勝している。

淳也の方が軽ハンデの馬の鞍数が少なく、牡馬・セン馬の斤量55㎏以上の鞍数は瑠星が27頭に対し、淳也は29頭と多く騎乗し結果を出している。

ハンデ戦でここまで結果を出していると、今後ベテラン騎手と同様、トップハンデの馬も任されるかもしれないから、今後のハンデ戦も淳也に注目していきたいな。

ということで、芝中距離のハンデ戦についてまとめてみると、

芝中距離のハンデ戦における馬券のポイント

①斤量の重いベテラン騎手が優勢

②勢いのある若手騎手は、軽ハンデの馬に乗っていると割り引く必要がある

上記を踏まえて、中京2200mのハンデ戦である日経新春杯では、“軽ハンデの馬を過信するべからず!!!”を格言として競馬を楽しんでいただきたい。

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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