個性派記者の本音トーク 加藤

【根岸ステークス】出走馬の傾向が変わってきてないか?

個性派記者の本音トーク 加藤
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ども、騎手情報担当の加藤です。

京都競馬が開催となるが、東京競馬も開催だ!

今週は東京の開幕週に行われるダート1400m戦、根岸ステークスだな!


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ところで根岸Sの“根岸”とは何かご存じだそうか。

“根岸”とは、神奈川県横浜市にある地名で、江戸時代末期に日本で初の近代競馬場が設立された場所なんだ。1942年までここで競馬が開催されていて、今でいう『天皇賞』や『皐月賞』の前身レースが行われていた。

現在では競馬場があった跡地は、根岸森林公園・根岸競馬記念公苑(現在休苑中)になっていて、当時の観戦施設の一部「一等馬見所」が残っている。中に入ることはできないが外観を見ることはできる。

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これは何年か前に東京競馬場の帰りに寄って撮った写真だ。夜に行ったから少し不気味な雰囲気を醸し出しているな(笑)

そしてこの「根岸競馬場の一等馬見所」は、今年1/22に横浜市が「横浜市認定歴史的建造物」に認定したんだよ!

そんな歴史のある根岸Sの勝利馬には、フェブラリーS(G1)の優先出走権が付与されるため、G1レースの前哨戦としての立ち位置となっている。

過去10年で158頭中【52頭】が根岸SとフェブラリーSを続けて使うローテが組まれ、レモンポップモズアスコットが連勝している。

ただ、昨年からG1レースの前哨戦であるはずの根岸Sの

出走馬の傾向が変わってきてないか?



傾向が変わった?
今後の根岸Sの立ち位置とは

過去10年の根岸SとフェブラリーSを続けて使った組と、根岸Sの後1400mのレースを使った組の頭数を見ていただきたい。

■根岸Sの出走馬の次走
(2015年~2024年)
根岸S→フェブラリーS組根岸S→ダート1400m組
2015年6頭3頭
2016年4頭3頭
2017年6頭4頭
2018年5頭2頭
2019年8頭2頭
2020年4頭5頭
2021年7頭1頭
2022年3頭3頭
2023年7頭4頭
2024年2頭5頭

今まではフェブラリーSで勝ち負けができる実力馬が多数根岸Sを前哨戦として出走してきたが、昨年は根岸S→フェブラリーS組が【2頭】と過去10年で最少になっている。

それに対し根岸S→ダート1400m組が【5頭】とダート1400m戦を選択した馬の方が多かったんだ。昨年の根岸SはフェブラリーSの前哨戦とは言いにくいな。

昨年の根岸Sは1番人気に推されていたエンペラーワケアが重賞初挑戦で勝利し、フェブラリーSの優先出走権を得たが大事を取って見送り、次走は欅S(東京ダート1400m)に出走した。

今年はフェブラリーSに挑戦するみたいだが、元々主戦としていた距離はダート1400mで、10レース出走している内、新馬戦と昨年勝利した武蔵野S以外は全てダート1400m戦を出走している。武蔵野Sでダート1600mの適性があるのを見て、今回フェブラリーSの参戦を決めたと思うが、元々はダート1400m巧者だ。

そして昨年の根岸Sで2番人気に推されていたサンライズフレイムもダート1400m戦を4連勝して根岸Sを出走し、3着だった。今もダート1400mを主戦に活躍している。

昨年から根岸SはフェブラリーSの前哨戦ではなく、1400m巧者が多数出走するレースに変化しつつあるのではと考えられる。

そもそも根岸Sはダート1400m巧者にとっては貴重なレースであってもおかしくないんだ。実はダート1400m戦の重賞は年に2鞍(今年は根岸Sと東海S)しかない

つまりエンペラーワケアは昨年の段階では、フェブラリーSの前哨戦として出走したのではなく、貴重なダート1400mの重賞として出走したのではないだろうか。

その背景には近年、実力馬はフェブラリーSを目指さず、その裏のサウジアラビアで行われるサウジカップを目指す馬が増えてきていることが挙げられる。昨年のフェブラリーSは主役不在のG1と言われ、11番人気ペプチドナイルが勝利しレース自体も11番人気→5番人気→13番人気と波乱決着となった。

実力馬がサウジカップを使うことで、輸出検疫の期間から間隔が短い根岸Sには参戦して来ないため、今後根岸Sが1400m巧者の集まるレースになっていくと考えられる。

実力馬が参戦していたフェブラリーSの前哨戦から1400m巧者が集まるレースに変化しつつある根岸Sだが、馬券的には何か変化があるのだろうか。

根岸Sは堅いレース?

過去10年ダート重賞における1番人気の勝率トップ10を確認いただきたい。

■ダート重賞の1番人気の勝率順
(2015年~2024年)
(10鞍以上)
レース着別度数勝率連対率複勝率
根岸S6- 2- 0- 2/1060.0%80.0%80.0%
フェブラリーS5- 2- 1- 2/1050.0%70.0%80.0%
平安S5- 1- 0- 4/1050.0%60.0%60.0%
東海S4- 3- 2- 1/1040.0%70.0%90.0%
チャンピオンズC4- 3- 0- 3/1040.0%70.0%70.0%
アンタレスS4- 2- 1- 3/1040.0%60.0%70.0%
レパードS3- 3- 1- 3/1030.0%60.0%70.0%
シリウスS3- 2- 0- 5/1030.0%50.0%50.0%
ユニコーンS3- 1- 1- 5/1030.0%40.0%50.0%
プロキオンS2- 3- 0- 5/1020.0%50.0%50.0%

根岸Sはダート重賞の1番人気の勝率がトップになっていて、勝率6割/連対率8割と好成績を残している。回収率に関しても単回収152円/複回収104円となっているため、過去10年で1番人気の単複を買い続けていたらプラスになる

根岸Sで1番人気に支持されて馬券圏外に敗れたのは、22年ソリストサンダーと19年サンライズノヴァの2頭のみだった。

続いて過去10年ダート重賞の2番人気の複勝率トップ10を確認していただきたい。

■ダート重賞の2番人気の複勝率トップ10
(2015年~2024年)
(10鞍以上)
レース着別度数勝率連対率複勝率
カペラS3- 2- 3- 2/1030.0%50.0%80.0%
根岸S1- 2- 4- 3/1010.0%30.0%70.0%
東海S4- 2- 0- 4/1040.0%60.0%60.0%
武蔵野S3- 2- 1- 4/1030.0%50.0%60.0%
マーチS2- 2- 2- 4/1020.0%40.0%60.0%
シリウスS1- 3- 2- 4/1010.0%40.0%60.0%
アンタレスS1- 2- 3- 4/1010.0%30.0%60.0%
ユニコーンS3- 1- 1- 5/1030.0%40.0%50.0%
エルムS3- 1- 1- 5/1030.0%40.0%50.0%
プロキオンS2- 1- 2- 5/1020.0%30.0%50.0%

根岸Sの2番人気も複勝率で見るとダート重賞の中で2位となっていて、複勝率は7割と好成績を残している。

2番人気は1勝だけしているが、これはコパノキッキングで、サンライズノヴァが1番人気で敗れた19年に勝利している。

1番人気が敗れたとしても2番人気が勝利するのだから、根岸Sはダート重賞の中でも上位人気馬の好走率が高いレースとなっているな。

傾向に変化があった昨年の根岸Sにおいても1番人気→6番人気→2番人気で決着しているため、引き続き上位人気馬の好走率が高いレースと言えそうだぞ。

今年は多数のダート1400m巧者が登録しているな。根岸SはフェブラリーSの前哨戦からダート1400m巧者のレースに変化しつつあるが、傾向が変わっても人気馬を嫌う必要はなさそうだ。

ただ、根岸Sは上位人気馬が来るとはいえ、5~10番人気が馬券に絡むケースもある。過去10年で3連単平均は2万9153円と万馬券になっているから、人気薄の馬にも目を光らせる必要があるな

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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