
ども、騎手情報担当の加藤です。
今週は小倉芝1800mで行われる4歳以上のハンディキャップ戦、小倉大賞典だ!
ハンデ戦ということもあり、過去10年で10番人気が7回、計8頭馬券圏内に来ている高配当が狙えるレースとあって注目されている。しかし、今年の注目は他にありそうだぞ。
今年の小倉大賞典の注目は、ダート界のスピードスターであるヤマニンウルスの参戦だろう。

本馬はダート路線での活躍が期待されているが、今回芝コース初挑戦となる。もう一つ驚きなのは、昨年の小倉大賞典の勝ち馬エピファニーとトップタイのハンデ、斤量58.5キロでの出走が決定したことだろう。
ハンデ戦はJRAのホームページ上に『出走予定馬の実績や最近の状態などを考慮し、各出走馬に勝つチャンスを与えるよう決められた重量を負担させるレースです。JRAのハンデキャップ作成委員が、各々の負担重量を決定します。』と説明があり、ヤマニンウルスは芝コース初挑戦だが、斤量58.5キロでも勝負になるというのがJRAの見解になっているな。
ただ、トップハンデで決定したヤマニンウルスに対して、「不運続きだ。」という声も挙がっている。
他に何が「不運」かというと、出走したいレースに立て続けで除外になってしまったことである。
不運続きのレース選び
本当に小倉大賞典に出走したかったのだろうか
ヤマニンウルスは新馬戦で2着に4.3秒差をつけ大差で勝利し鮮烈なデビューを飾ると、その勢いのまま無傷の5連勝でプロキオンS(G3)を制覇したんだ。
ただ、プロキオンSを制覇後にチャンピオンズC(G1)に登録したが、賞金順で出走が叶わなかったため、名古屋大賞典に目標を移し、地方の砂が合わず6着に敗れた。
その後、2/10に行われたアルデバランS(OP)に登録したが、JRAの出走馬決定方法により除外となった。ルールは以下である。
1位 オープン馬のうち8節以内の前走3着以内馬
2位 オープン馬のうち出走間隔の長い馬
3位 3勝クラス馬のうち出走間隔の長い馬
4位 2勝クラス馬のうち出走間隔の長い馬
5位 1勝クラス馬のうち出走間隔の長い馬
6位 未勝利馬のうち出走間隔の長い馬

重賞勝ち馬にも拘らず、OP戦すら除外になったのは大きな話題になったよな。
更に先のフェブラリーSやかきつばた記念にも登録したが、こちらも除外対象となったため、芝のレースである小倉大賞典に出走する運びとなったんだ。
出走に漕ぎ着けた小倉大賞典でもトップハンデで決定したため、不運続きと言われている。
ただ、陣営は今回の小倉大賞典への出走に対し前向きで「もともと芝のレースを試してみたく、今の小倉の芝は合うと思うので、試すなら今」とし、トップハンデに対しても「想定通り」とコメントをしているんだ。
しかし、今回の小倉大賞典への出走に対し、いくつか疑問があるんだよ。
①初の芝挑戦なら、アルデバランSの週の小倉芝2000m、小倉日経オープンに出走するべきでは?
②ダート戦なら、来週(3/1)に行われる阪神ダ2000mの仁川Sに出走するべきでは?
①に関しては、名古屋大賞典の結果を受け、次走は早々からアルデバランSを目指していたため、除外となるまでは芝のレースに出走することは陣営の頭になかったのではと考えられるな。
②に関しては、仁川Sはリステッド競走のため、出走馬決定賞金で決められる。ヤマニンウルスは重賞勝利馬のため、確実に出走できただろう。また、主戦である武豊騎手がサウジカップデー遠征から戻ってくるため、乗り替わりを強いられずに済むかもしれない(※小倉大賞典では藤懸騎手が騎乗予定)。
今回の小倉大賞典のレース選択は、アルデバランSの除外によるもので、もともと小倉大賞典を目指していたワケではない。
今回の出走は陣営が芝コースでも好走が見込める『計算づく』であるのか、それとも除外続きで『ヤケクソ』なレース選択のどちらかになってきそうだぞ!
トップハンデで芝挑戦へ
芝でも好走できるのか

まずはプロフィールからだ!
生年月日 | 2020年5月21日(5歳) |
---|---|
性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
父 | ジャスタウェイ |
母 | ヤマニンパピオネ |
母父 | スウェプトオーヴァーボード |
調教師 | 斉藤崇 |
生産者 | 錦岡牧場 |
馬主 | 土井肇 |
通算成績 | 6戦5勝[5-0-0-1] |
6戦5勝と好成績を上げているが、全てダート戦になる。今回芝コース初挑戦となるが、ヤマニンウルスは芝コースの適性があるのだろうか。
まず初めにジャスタウェイ産駒の芝とダートの成績を見てみると、
コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
芝 | 202-197-197-1999 | 7.8% | 15.4% | 23.0% |
ダート | 148-152-141-1681 | 7.0% | 14.1% | 20.8% |
芝、ダートともに5回に1回馬券になる成績を残している。芝コースではホープフルS(G1)の勝ち馬ダノンザキッドや、牡馬クラシック全て馬券圏内だったヴェロックスなどが活躍していることから、芝でも十分実績があるな。
また、ジャスタウェイ産駒の芝1800mの成績は、
コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
芝1800m | 48- 56- 43- 469 | 7.8% | 16.9% | 23.9% |
約4回に1回馬券圏内となる成績を残しているため、芝1800mをこなせる可能性は十分あるな。
続いて、母ヤマニンパピオネについてだが、短距離戦がメインであり芝ダートどちらも出走経験があり、通算成績24戦4勝で芝ダートともに勝利している。
また、半兄にはオープン馬のヤマニンサンパがおり、先週(2/15)の洛陽S(京都11R)では馬券圏内ではなかったものの1着と0.3秒差の4着と好走している。
ヤマニンウルスは現在ダート路線で活躍しているが、血統的に見ると芝でも通用しそうだな。
今回、鞍上は初コンビとなる藤懸騎手になる。芝コース初挑戦に加え、初コンビと不安要素も多いことから、しっかり精査した上で週末の予想をしていくので、乞うご期待だ!!!

加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。