ども、騎手情報担当の加藤です。
今週は、新潟競馬場の芝1600mにて、2歳世代で最初のマイル重賞、新潟2歳Sが行われる。
今年は、関西馬が2頭と少ないながらも、新馬戦を先行して強い競馬を見せたフェスティバルヒル、OP・ダリア賞で鋭い末脚を披露したタイセイボーグ、関東馬からは新馬戦を圧勝したリアライズシリウスなど、将来が楽しみな素質馬たちが揃った印象だ。
その中でも、新馬戦で後続に7馬身差をつけて圧勝したリアライズシリウスは、能力的に一枚抜けている印象で、1番人気に推される可能性が高そうだ。しかし、この馬にはいくつかの不安要素があるんだ。
不安要素①誕生月と成長の差がもたらす影響
日本の競走馬は、北半球のルールに基づき、1月1日になると同じ年に生まれた馬が一斉に1歳加齢する。そのため、1月生まれでも5月生まれでも、同じ1月1日を過ぎれば同じ2歳馬として扱われる。
実はこの生まれ月の差が、キャリアの浅い2歳馬の成績に直結しやすい。
過去10年(2015年~2024年)の新潟2歳Sの生まれ月別の成績を確認していくと、
| 生まれ月 | 着差度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 1- 1- 1- 6/ 9 | 11.1% | 22.2% | 33.3% |
| 2月 | 5- 3- 2-26/36 | 13.9% | 22.2% | 27.8% |
| 3月 | 2- 4- 6-40/52 | 3.8% | 11.5% | 23.1% |
| 4月 | 1- 0- 1-22/24 | 4.2% | 4.2% | 8.3% |
| 5月 | 1- 2- 0- 8/11 | 9.1% | 27.3% | 27.3% |
2月生まれが【5勝】を挙げており、勝率では3月生まれの馬と約4倍もの差がある。さらに出走頭数は少ないながらも1月生まれの馬は9頭中3頭が馬券に絡んでいる。
昨年は、1月生まれのトータルクラリティ(1着)とプロクレイア(3着)、そして2月生まれのコートアリシアン(2着)での決着となった。
より広範囲に過去10年の芝で行われた2歳重賞全体の生まれ月別成績を確認していくと、この傾向はさらに明確になる。
| 生まれ月 | 着差度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 16- 16- 17- 81/130 | 12.3% | 24.6% | 37.7% |
| 2月 | 46- 44- 37-318/445 | 10.3% | 20.2% | 28.5% |
| 3月 | 39- 51- 39-482/611 | 6.4% | 14.7% | 21.1% |
| 4月 | 34- 20- 34-374/462 | 7.4% | 11.7% | 19.0% |
| 5月 | 4- 8- 12-138/162 | 2.5% | 7.4% | 14.8% |
| 6月 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
1月生まれが最も成績が良く、誕生月が遅くなるにつれて成績が落ちていく傾向にある。キャリアの浅い2歳馬は特に、生まれ月がわずか数か月早いだけで、勝率にも差が出るようだ。
今年の新潟2歳Sに特別登録をした各馬の生まれ月は以下の通り。
フェスティバルヒル
・2月生まれ
サンアントワーヌ
タイセイフレッサ
・3月生まれ
サノノグレーター
ヒルデグリム
リアライズシリウス
リネンタイリン
・4月生まれ
タイセイボーグ
フォトンゲイザー
メーゼ
・6月生まれ
ロット
②前走脚質とレースの質
リアライズシリウスは前走を逃げて圧勝したが、過去10年新潟2歳Sに出走した馬の前走脚質別の成績を確認していくと、
| 脚質 | 着差度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 逃げ | 1- 2- 3- 14/ 20 | 5.0% | 15.0% | 30.0% |
| 先行 | 5- 3- 2-26/36 | 4.9% | 11.5% | 19.7% |
| 差し | 2- 4- 6-40/52 | 10.3% | 17.9% | 20.5% |
| 追込 | 1- 0- 1-22/24 | 18.2% | 27.3% | 36.4% |
| マクリ | 1- 2- 0- 8/11 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
前走で逃げた馬の勝利は、17年のフロンティア1頭のみ。先行や後方から運んで競馬をした馬が多く勝利し好成績を残している。
さらに、レース当日の脚質別成績を見てみると、
| 脚質 | 着差度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 逃げ | 0- 2- 1- 7/ 10 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
| 先行 | 2- 2- 3- 28/ 35 | 5.7% | 11.4% | 20.0% |
| 差し | 7- 5- 4- 43/ 59 | 11.9% | 20.3% | 27.1% |
| 追込 | 1- 1- 2- 24/ 28 | 3.6% | 7.1% | 14.3% |
| マクリ | 0- 0- 0- 0/ 0 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
逃げ馬は過去10年で一度も勝利がない。代わりに、差し馬が【7勝】を挙げている。これは日本一長い659mの直線を持つ新潟競馬場のコースレイアウトが関係していると考えられる。
新潟競馬場の芝1600mは向正面の途中からスタートして、3コーナーまでの距離も長い。そのため、道中ではペースが緩みやすい。なので、最後の直線で瞬発力勝負になることが多いからだろう。さらにはレース経験の少ない2歳馬はよりこの傾向が強くなる。
過去10年(2015年~2024年)新潟2歳Sの前後半3ハロンのタイムを確認してみても、
| 年 | 前半3ハロン | 後半3ハロン |
|---|---|---|
| 2015 | 35.4 | 33.9 |
| 2016 | 36.0 | 33.6 |
| 2017 | 36.6 | 33.0 |
| 2018 | 36.3 | 34.0 |
| 2019 | 36.1 | 33.6 |
| 2020 | 34.6 | 35.1 |
| 2021 | 36.2 | 33.6 |
| 2022 | 36.6 | 33.7 |
| 2023 | 35.4 | 34.0 |
| 2024 | 35.0 | 34.5 |
2020年を除いて9回、後半のラップが速くなる後傾ラップ。スローペースからの33秒台の脚を使う瞬発力勝負になりやすい。それもそのはず上がり1位の成績は[6-2-1-1/10]と9頭が馬券に絡んでいる。
リアライズシリウスは前走逃げる形で圧勝したが、今回求められるのは、前で粘り込む持続力よりも、道中で脚を溜めて鋭く伸びる瞬発力になる。前走と同じように積極的な競馬をすると、長い直線で脚が上がってしまう可能性も考えられる。
まとめ
前走で圧勝したリアライズシリウスが上位候補であることは認めているが、3月生まれという不利なデータに加え、前走で逃げた経験しかないため、新潟2歳Sで求められる瞬発力勝負に対応できるかという疑問が残る。
もし、極端な瞬発力勝負や番手で控えるなど、前走と異なる競馬に戸惑うようなら、直線で後続に差される展開も考えられるな。
加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。
