個性派記者の本音トーク 加藤

【オールカマー】有馬記念を制覇した女王レガレイラに死角あり!

個性派記者の本音トーク 加藤
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ども、騎手情報担当の加藤です。

『あの騎手』の夏が始まったな!

『あの騎手』とは、淳也(西村淳騎手)のこと。4月12日の阪神競馬場での落馬事故により、皐月賞週を最後に長期離脱が余儀なくされていた。

しかし先週、約5ヶ月ぶりにターフへ復帰。ブランクを感じさせない騎乗で、復帰初戦の土曜阪神6Rでは5番人気のフィアーブルを2着に導くと、復帰週は[3-3-2-6/14]で勝率21.4%、複勝率57.1%と圧巻の成績で結果を残した。

怪我を乗り越え、逞しさを増した淳也。秋のG1シーズンに向けて、ここからさらにアピールを強めていくだろう。彼の活躍に注目だ!

昨年の有馬記念を制覇した女王レガレイラが登場
オールカマーの出走馬

さて、今週は中山競馬場の芝2200mにて、オールカマーが行われる。

このレースは、2014年から勝ち馬に天皇賞(秋)への優先出走権が与えられるため、実力馬たちが秋のG1戦線を見据えて集結する重要な一戦。今年も少数精鋭ながら豪華なメンバーが揃った。

関西馬からは、今年のG2・京都記念を制し、レコード決着となったG1・大阪杯でも3着に好走したヨーホーレイクが参戦。

関東馬からは、昨年の有馬記念を3歳牝馬ながら制した女王レガレイラ、重賞で二戦連続2着と安定感が光るドゥラドーレスが参戦。この二頭は同じ母ロカから生まれた兄弟であり、注目の直接対決となる。

やはり人気の中心は女王レガレイラになるだろう。しかし、女王には二つの不安要素がある。それは「斤量」「管理している木村厩舎の中山での成績」だ。

1.牝馬には過酷な斤量設定

オールカマーは、実績に応じて斤量が加算される「グレード別定」で行われ、下記斤量設定が採用されている。

■基本重量
・3歳馬 :54㎏(牝馬52㎏)
・4歳以上:57㎏(牝馬55㎏)

▼実績に応じて斤量が増加
・G1勝ち馬 ⇒2㎏増
・G2勝ち馬 ⇒1㎏増

※牝馬限定戦
・G1勝ち馬 ⇒1㎏増

※2024年9月13日以前のG1勝ち馬(牝馬限定競走を除く) ⇒1㎏増
※ただし2歳馬の成績を除く
これにより、昨年牡馬相手の有馬記念を制したレガレイラは、基本重量55㎏から2㎏増の57㎏を背負うことになる。これは牡馬に換算すると59㎏にも相当する。

過去10年(2015年~2024年)で基本重量から2㎏増で出走した牝馬は、
2016年:マリアライト(56㎏) ⇒5着
2021年:レイパパレ(56㎏)  ⇒4着
2023年:ウインマリリン(57㎏)⇒9着
G1・宝塚記念を制したマリアライトや、無敗でG1・大阪杯を制したレイパパレといった実力馬でさえ、この斤量の壁に跳ね返されてきた。

一方で、牝馬でも2022年のジェラルディーナ(54kg)や2020年のセンテリュオ(54kg)のように、斤量増がなかった馬が勝利していることからも、このレースにおける斤量がいかに重要かがわかる。レガレイラにとって、この57kgという斤量は大きな試練になりそうだ。

2.木村厩舎は中山芝2200mの相性が悪い?

レガレイラを管理する木村哲也厩舎は、数々の名馬を育ててきたトップステーブルだが、実は中山競馬場だと成績が落ちる。

過去5年(2020年~2025年9月15日まで)の各競馬場の芝コースの成績を確認していくと、

各競馬場の芝コースの成績
※過去5年(2020年~2025年9月15日まで)
場所着別度数勝率連対率複勝率
札幌4- 1- 8- 17/ 3013.3%16.7%43.3%
函館2- 3- 2- 13/ 2010.0%25.0%35.0%
福島8- 3- 7- 28/ 4617.4%23.9%39.1%
新潟33- 37- 64-1172/130626.1%38.6%53.4%
東京83- 55- 39-168/34524.1%40.0%51.3%
中山34- 33- 29-135/23114.7%29.0%41.6%
中京83- 55- 39-168/34510.3%13.8%24.1%
京都83- 55- 39-168/34515.0%25.0%30.0%
阪神83- 55- 39-168/3454.0%14.0%26.0%
小倉83- 55- 39-168/3450.0%12.5%12.5%

東京競馬場では勝率が24.1%なのに対して、中山競馬場では14.7%と大きく数字を落としている。また、新潟競馬場での勝率が良いことから、直線が長く、紛れの少ないコースを得意とする傾向にあることがわかる。

中山競馬場は直線が短く、最後ゴール前は急坂があるなど紛れやすいコースになっているため、不得意だと考えられる。

また、木村厩舎の過去5年の中山競馬場、芝コースの距離別成績を確認していくと、

木村厩舎の中山芝の距離別成績
※過去5年(2020年~2025年9月15日まで)
着別度数勝率連対率複勝率
1200m4- 6- 2- 17/ 2913.8%34.5%41.4%
1600m7- 8- 16- 38/ 6910.1%21.7%44.9%
1800m3- 7- 6- 28/ 446.8%22.7%36.4%
2000m13- 11- 3- 30/ 5722.8%42.1%47.4%
2200m1- 0- 0- 12/ 137.7%7.7%7.7%
2500m5- 1- 2- 7/ 1533.3%40.0%53.3%

オールカマーの舞台となる2200mでは、過去5年間でわずか1勝。レガレイラが有馬記念で制した2500mでは好成績を収めているだけに、この2200mという距離が鬼門となっていることが分かる。

これは2200mが「外回り」、2500mが「内回り」を使用することによるコース形態の違いが影響しているのだろう。「内回り」は向正面にも直線があるが、「外回り」は1コーナーから最後の直線の進入口まで常に緩やかなカーブが続くため、直線の長いコースを得意とする同厩舎の馬にとって、長くコーナリングが続くコースはパフォーマンスが発揮しづらい。

中山競馬場の中でも、2200mの「外回り」は、コースレイアウトにクセがあるため、注意が必要である。

また、木村厩舎について付け加えておきたいのが中山と東京の重賞成績だ。

中山と東京の重賞成績
※過去10年(2015年~2025年)
着別度数勝率連対率複勝率
中山8- 8- 6- 42/ 6412.5%25.4%34.9%
東京16-15- 7- 50/ 8818.2%35.2%43.2%

重賞の勝利数は、東京【16勝】に対し、中山はその半分の【8勝】と成績が見劣ってしまう。

さらに、木村厩舎で直近の中山重賞を勝利した馬のラインナップを見ると、

レガレイラ:有馬記念
レガレイラ:ホープフルS
イクイノックス:有馬記念
ジオグリフ:皐月賞
G1での勝利が目立っている。G1は勝率40%に対し、G2は1勝しかしていなく勝率が5.0%しかない。つまり中山競馬場だと全力で挑むG1では勝ち切ることもあるが、G2やG3だと取りこぼす可能性が高いとも言える。

だが、木村厩舎がG1級の馬でG2やG3を使う機会も少ないため「G1以外は弱い」とも言い切れない。

まとめ

今回レガレイラ牡馬換算で59㎏という厳しい斤量に加え、管理する木村厩舎が不得手とするコース設定。これら二つの不安要素に加え、オールカマーが秋のG1シーズン本番に向けての叩き台である可能性も考慮すれば、断然の主役と目されるレガレイラにも隙はある。

ただ、秋の最も優れた中長距離馬が集まる有馬記念を制覇した実力馬。能力は十分にあるため、あっさり勝つことも考えられる。

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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