個性派記者の本音トーク 加藤

【ファンタジーステークス】近2年は波乱傾向!カギは「〇〇」と「△△」

個性派記者の本音トーク 加藤
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ども、騎手情報担当の加藤です。

今年も未来のジョッキー候補たちの情報が入ってきたな。

第45期競馬学校騎手課程の入学試験合格者9名(応募人数195名)が発表された。その中には、五十嵐雄祐騎手の息子・翼さん石神深一騎手の息子であり兄も現役騎手の深道騎手である龍貴さんの名もあった。彼らは来年4月に入学予定だ。

今年は競馬学校開校以来、初となる来春デビューの新人騎手ゼロという寂しいニュースがあっただけに、この9名にかかる期待は大きい。最速でデビューは3年後となるが、無事に技術を磨いていってほしいな。ターフで会える日を楽しみにしよう。

今週も牝馬G1の登竜門?
ファンタジーSの出走馬

さて、今週は京都芝1400mにて、ファンタジーSが行われる。

先週のG3・アルテミスSに引き続き、G1・阪神ジュベナイルFの前哨戦として、2歳牝馬にとっては重要なレースとなっている。

今年は、前走G3・新潟2歳Sで上がり最速の32.5秒をマークし3着に好走したフェスティバルヒルや、G3・函館2歳Sで同じく上がり最速をマークし2着に好走したブラックチャリスなどが出走する。

近2年は波乱傾向に
カギは「短距離適性」と「非サンデー系」

まずは、ファンタジーSの過去10年の人気別成績を確認していこう。

■ファンタジーSの人気別成績
※過去10回(2015年~2024年)
人気着別度数勝率連対率複勝率
1番人気3- 2- 2- 3/ 1030.0%50.0%70.0%
2番人気1- 1- 1- 7/ 1010.0%20.0%30.0%
3番人気0- 1- 2- 7/ 100.0%10.0%30.0%
4番人気1- 1- 0- 8/ 1010.0%20.0%20.0%
5番人気2- 0- 2- 6/ 1020.0%20.0%40.0%
6~10人気2- 4- 1- 42/ 494.1%12.2%14.3%
11~人気1- 1- 2- 25/ 293.4%6.9%13.8%

1番人気は複勝率が70%と好成績を収めている。しかし、2番人気3番人気と上位人気が苦戦傾向にある。

特に注目するべきは、近2年の傾向になる。馬券圏内に入った6頭のうち、4頭が10番人気以下という大波乱が続いている

荒れる傾向にあるファンタジーSはいくつかある好走パターンから2つのカギを紹介させていただきたい。


王道路線はアルテミスSに
ファンタジーSは短距離専門馬のレース

なぜこれほどまで荒れる傾向が強まったのだろうか。最大の理由は、G1・阪神ジュベナイルFを目指す「王道路線」の変化にある。

以前は本レースからもレシステンシアダノンファンタジーといった、後のG1馬が誕生し、本番へ直結する重要なステップレースとされていた。

しかし近年、G1本番と同じ1600m、かつ紛れの少ない東京のコースで行われるG3・アルテミスSが、本番を意識する有力馬の主要ローテーションになっている。

その結果、ファンタジーSはクラシックで活躍する馬を輩出するケースが減り、本番より200m短い1400mという距離設定から、以下のような馬が集まるレースへと変わってきている。

・「マイルは長い」と判断された、生粋の短距離馬

・「1400mで賞金を加算したい」という実績優先の馬

・阪神ジュベナイルFを目指している馬

つまり、本番を目指す馬たちと、1400m以下の重賞を狙う短距離専門馬が、キャリアの浅い2歳戦で激突する。そのため能力比較が難しく、波乱の温床となっている。

過去10年の前走距離別成績を確認すると、

■ファンタジーSの前走距離別成績
※過去10回(2015年~2024年)
前走距離着別度数勝率連対率複勝率
1200m4- 4- 3- 39/ 508.0%16.0%22.0%
1400m2- 3- 3- 39/ 474.3%10.6%17.0%
1500m1- 1- 1- 5/ 812.5%25.0%37.5%
1600m3- 2- 3- 13/ 2114.3%23.8%38.1%
1800m0- 0- 0- 2/ 20.0%0.0%0.0%

出走頭数を見ると、最も多いのは前走1200m組。次に多いのは同距離の前走1400m組であり、短距離路線組の参戦が主流になっていることがわかる。

ただし、勝率・複勝率が最も高いのは前走1600m組だ。しかし、2022年の3着レッドヒルシューズ以降、馬券圏内に来ていないので注意が必要になる。

近年は前走マイル組が苦戦しており、2023年には2番人気に推されたワイドラトゥールが10着、2024年には3番人気に推されたゴージャスが12着に大敗するなど、短距離特有のスピード決着になってきていて、追走に苦戦していることがわかる。


サンデー系と非根幹距離
京都改修後の変化

現代競馬はサンデーサイレンス系(以下、サンデー系)が席巻し、瞬発力を武器とする血統が主流になっている。京都芝1400mの外回り、改修前後の種牡馬の勝利数成績を比較してみよう。

■改修前の京都芝1400m(外回り)の種牡馬の勝利数成績
※過去5年(2016年~2020年)
赤文字がサンデー系
順位馬名着別度数勝率連対率複勝率
1位ディープインパクト15- 16- 11- 99/14110.6%22.0%29.8%
2位ダイワメジャー12- 12- 13- 92/1299.3%18.6%28.7%
3位ロードカナロア11- 2- 6- 35/ 5420.4%24.1%35.2%
4位キングカメハメハ5- 7- 2- 27/ 4112.2%29.3%34.1%
5位マンハッタンカフェ4- 3- 3- 25/ 3511.4%20.0%28.6%
■改修後の京都芝1400m(外回り)の種牡馬の勝利数成績
※2023年~2025年10/26
赤文字がサンデー系
順位馬名着別度数勝率連対率複勝率
1位ロードカナロア6- 6- 5-58/758.0%16.0%22.7%
2位モーリス5- 5- 3-32/4511.1%22.2%28.9%
3位キズナ4- 4- 1-35/449.1%18.2%20.5%
4位キタサンブラック4- 0- 4- 7/1526.7%26.7%53.3%
5位ドゥラメンテ3- 1- 2-20/2611.5%15.4%23.1%

改修前は、サンデー系のディープインパクト産駒が【15勝】でトップだった。これは京都外回り特有の長い直線で、瞬発力を活かしやすかったためだろう。

しかし、改修後はその傾向が一変。ディープインパクト産駒は2022年、ハーツクライ産駒は2023年にデビューでラストクロップを迎え、サンデー系の産駒が減少している。

そこで、もともと改修前も好成績だった非サンデー系のロードカナロア産駒が【6勝】でトップになり、モーリス産駒も上位を占めている。

この非根幹距離である1400mは、単なる瞬発力だけでは押し切れず、向正面から3コーナーの坂を越え、下り坂になってからは速いラップを維持する「スピードの持続力」がより問われるタフなコースに変わったと考えられる。

このファンタジーSにおいても、波乱となった近2年は非サンデー系が穴をあけている。馬券圏内6頭のうち、5頭が非サンデー系だった。

まとめ

今年も前走短距離に出走した馬が多く参戦してくる。特に人気の中心になりそうなフェスティバルヒルはキャリア2戦ともマイル戦のため、短距離組のペースに戸惑い、末脚が発揮できないまま終わってしまう可能性も考えられるな。

このレースのカギをまとめると、「短距離適性」と「非サンデー系」になりそうだ。

1.アルテミスS組とは異なり、1200m~1400mのスピード勝負で実績を上げてきた馬が好走傾向にある。

2.改修後の京都芝1400mは、今なお席巻している主流のサンデー系は割引が必要。パワーと持続力に秀でた非サンデー系に注目すべし。

以上の2点がかみ合えば、近2年のように高配当があるかもしれないな。

加藤

関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。

騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。

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