ども、騎手情報担当の加藤です。
今週は馬券攻略の前に、ぜひ皆さんに見ていただきたいものがあるんだ!
これは、先週のG1・天皇賞(秋)のジョッキーカメラになる。JRA公式Youtubeで、ユタカさん(武豊)とルメールの二人の騎乗シーンが公開されている。
特に話題になっているのが、マスカレードボールに騎乗したルメールの動画。2コーナーでセイウンハーデスに寄られた際、ルメールが「あー!もう、いるよ!」と強い口調で怒っていた。口笛まで吹いていたな。
一部では、「ただ進路が欲しいだけなのでは?」という声もあったが、コレは間違い。馬ではなく車やバイクに置き換えて考えてみてほしい。車間距離がないのに無理に車線変更をされたらどうだろうか。悪質な場合にはクラクションを鳴らすだろう。スピードが出ている高速道路などでは大事故につながる可能性もある。
競馬も同じで、約60km/h、速いときで70km/hで走っているときに少しの接触でも落馬などの大事故につながりかねない。
ルメールのあの声は、事故を防ぐために注意喚起として声を荒げた。騎手は勝利を目指す以前に、まず安全にレースを完遂することを最優先にする。こうした騎手のリアルな視点や判断が見える動画は、本当に貴重だよな。
もう一つ話題になってたのは、ユタカさんが作るスローなペースに思わず「おっそいわー」って声も入ってたな(笑)
2歳マイル王者を占う前哨戦?
京王杯2歳Sの出馬表
さて、今週は東京芝1400mにて京王杯2歳Sが行われる。
このレースは関西馬が【8勝】で複勝率も35.2%、関東馬が【2勝】で複勝率13.8%と『西高東低』のレースになっている。昨年も1~3着まで関西馬で決着しているな。
今年は前走OP・もみじSにて上がり3ハロン33.3秒の好時計をマークしたダイヤモンドノットや、前走未勝利戦で直線一気の脚を見せたシャオママルが出走する。
近5年は波乱傾向!
どのタイプの馬が京王杯2歳Sで好走するのか
まずは、京王杯2歳Sの過去10年の人気別成績を確認していこう。
| 人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1番人気 | 3- 2- 1- 4/ 10 | 30.0% | 50.0% | 60.0% |
| 2番人気 | 3- 0- 0- 7/ 10 | 30.0% | 30.0% | 30.0% |
| 3番人気 | 1- 1- 1- 7/ 10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
| 4番人気 | 0- 1- 4- 5/ 10 | 0.0% | 10.0% | 50.0% |
| 5番人気 | 0- 2- 2- 6/ 10 | 0.0% | 20.0% | 40.0% |
| 6~10人気 | 3- 3- 2- 40/ 48 | 6.3% | 12.5% | 16.7% |
| 11~人気 | 0- 1- 0- 37/ 38 | 0.0% | 2.6% | 2.6% |
1番人気は【3勝】で複勝率が60%と堅実だが、6~10番人気も【3勝】しており、ヒモ荒れどころかアタマでの波乱も十分にある。
昨年も8番人気→5番人気→4番人気と大荒れの結果になった。過去5年だけで見ると、馬券になった15頭中10頭が5番人気以下と波乱傾向にある重賞になっている。
ではなぜ、人気薄でも好走できるのか、その理由を探っていこう。
「将来の短距離馬」が活躍
なぜ京王杯2歳Sは波乱傾向にあるのだろうか。それは本番の2歳マイルG1を目指す馬たちと、1400m以下の重賞を狙う将来の短距離馬が、キャリアの浅い2歳戦で激突するため、波乱を引き起こしている。
京王杯2歳Sは2歳短距離路線で唯一のG2になるため、以下の馬が集まるレースになっている。
・初めから「マイルは長い」と判断された、生粋の短距離馬
・短距離路線で箔をつけたい実績優先の馬
・本番のG1・阪神JFや朝日杯FSを目指している馬
特に生粋の短距離馬が出走して勝つことが多く、その後マイル路線に挑戦するが、短距離に適性を見出す馬が多い。実際に勝ち馬のその後を確認してみると、
パンジャタワー:G1・朝日杯FSは12着と敗れたものの、G1・NHKマイルCを勝利。その後古馬相手にG3・キーランドC(芝1200m)で強い勝ち方を収めた。本質は短距離だろう。
コラソンビート:2歳時は好成績を収めていたが、その後はマイル路線では苦戦。スプリント路線に転向し、福島オープン・安達太良S(芝1200m)では3着と、近走で復調の兆しを見せている。
タワーオブロンドン:古馬になり、G2・セントウルSではレコードで勝利し、連勝でG1・スプリンターズSを制覇。
馬券攻略のカギは「短距離適性」と「上がり最速」
まず、過去10年の京王杯2歳Sの前走距離別成績を確認してみると
| 前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1200m | 5- 4- 5- 42/ 56 | 8.9% | 16.1% | 25.0% |
| 1400m | 4- 2- 2- 40/ 48 | 8.3% | 12.5% | 16.7% |
| 1500m | 1- 0- 1- 3/ 5 | 20.0% | 20.0% | 40.0% |
| 1600m | 0- 4- 2- 20/ 26 | 0.0% | 15.4% | 23.1% |
| 1800m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
勝ち馬の10頭中9頭が、前走1200mまたは1400m組から出ている。
短距離組が好成績を上げるのには、東京芝1400mのコースレイアウトが影響している。
東京芝1400mはスタートして60mで緩やかな上りになることや、向正面もある程度の距離があるため、前半のペースは上がりにくい傾向にある。そして最後の直線は距離が長いため、瞬発力勝負になる。
そのため、京王杯2歳Sは過去10年の前後半3ハロンタイムを平均すると、「35.46-34.22」と後傾ラップになっており、スローペースになりやすい傾向にある。
短距離馬が好走する傾向にあるのは、スローになった分、距離が延長になっても脚に余力が生まれるためだろう。逆にマイル以上の距離を走った馬は、スローペースからの瞬発力勝負では短距離馬のスピードに見劣り、勝ち切れない傾向にあるともいえる。
この傾向を裏付けるように、過去10年の京王杯2歳Sの上がり3ハロン別成績を確認してみると、
| 上がり3ハロン | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 4- 3- 1- 3/ 11 | 36.4% | 63.6% | 72.7% |
| 2位 | 2- 0- 1- 7/ 10 | 20.0% | 20.0% | 30.0% |
| 3位 | 1- 1- 2- 10/ 14 | 7.1% | 14.3% | 28.6% |
| 4~5位 | 0- 3- 2- 17/ 22 | 0.0% | 13.6% | 22.7% |
| 6位以下 | 3- 3- 4- 69/ 79 | 3.8% | 7.6% | 12.7% |
レースで最速の上がりを使った馬の複勝率は7割を超えている。また、4勝のうち、3勝は前走1200m組、1勝は前走1400m組となっているため、いかに短距離馬が脚に余力を残し、最後の直線で脚が使いやすいレースになっているかがわかるな。
まとめ
今年も前走短距離に出走した馬が多く参戦してくる。前走で1200mや1400mのスピード戦を経験した馬が、スローペースになりやすい東京芝1400mで脚に余力ができ、直線で鋭い脚を使い好走につながる。
反対に前走でマイル以上の距離を使った馬は、短距離優勢のスピード面で劣るか、または距離短縮に戸惑いが生じるケースがあり、このレースでは相対的に不利になる傾向にある。
京王杯2歳Sの勝ち馬が後に短距離で活躍している点からも、当レースは本番の2歳マイルG1以上に、将来の短距離路線を見据える重要な一戦と言えるだろう。
加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。
