ども、騎手情報担当の加藤です。
若手騎手が重賞を初制覇したな!
先週行われたG2・アルゼンチン共和国杯で、デビュー5年目の松本大輝騎手が、9番人気の伏兵ミステリーウェイを勝利に導き重賞初制覇を飾った。松本騎手は、176㎝の高身長でも知られ、栗東トレセンでは、『ジャンボ』の愛称で呼ばれている。
デビュー年は18勝、2年目は32勝と順調に勝ち星を重ねていたが、3年目以降は1桁勝利に留まり、騎乗回数も激減していた。しかし、今年は夏の北海道シリーズで6勝を挙げるなど腕を磨き、このアルゼンチン共和国杯の勝利で年間19勝目。5回目の挑戦で重賞タイトルを獲得したが、同期では永島まなみ騎手に続く2人目となる。
競馬学校時代は、模擬レース8戦の総合ポイントで争う「競馬学校チャンピオンシップ」で優勝し、騎乗技術優秀者に贈られる「アイルランド大使特別賞」を受賞するなど、もともとは同期の中でトップの成績を誇っていた実力騎手。今後の更なる活躍に期待したいな。
いざ、G1挑戦へ
武蔵野ステークスの出走馬
さて、今週は東京ダート1600mにて武蔵野Sが行われる。
このレースは、勝ち馬に3週後のG1・チャンピオンズCへの優先出走権が与えられる重要な一戦だ。また、G1・フェブラリーSと同舞台でもあり、G1を目指す実力馬から、G1獲りを狙う上がり馬まで多く参戦する。
また、『西高東低』の傾向が顕著に出るレースであり、過去10年で関西馬が[9-9-9-85]と【9勝】を挙げているのに対し、関東馬が[1-1-1-42]と【1勝】のみ。昨年も1、2着は関西馬が占めている。
今年は、関西馬から前走リステッド・グリーンチャンネルCで斤量60㎏ながら、2着に0.7秒差をつけ圧勝したオメガギネスや昨年のG1・フェブラリーS覇者ペプチドナイル、関東馬からは今年のフェブラリーSを制したコスタノヴァが出走する。
1番人気想定のコスタノヴァ
危険な要素があるぞ!
まずは、武蔵野Sの過去10年の人気別成績を確認していこう。
| 人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1番人気 | 2- 1- 1- 6/ 10 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
| 2番人気 | 3- 2- 1- 4/ 10 | 30.0% | 50.0% | 60.0% |
| 3番人気 | 2- 0- 0- 8/ 10 | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
| 4番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% |
| 5番人気 | 0- 2- 1- 7/ 10 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
| 6~10番人気 | 3- 4- 4- 39/ 50 | 6.0% | 14.0% | 22.0% |
| 11~番人気 | 0- 1- 2- 54/ 57 | 0.0% | 1.8% | 5.3% |
昨年は圧倒的な支持を集めたエンペラーワケアが勝利したが、1番人気は【2勝】、複勝率40%と苦戦傾向にある。対照的に6~10番人気が【3勝】を挙げており、波乱傾向にあるレースとなっている。
今回、1番人気が想定されるコスタノヴァは、東京ダートでは6戦6勝と無敗を誇るが、いくつかの不安要素が考えられる。
不安要素①:斤量
武蔵野Sはグレード別定となっており、下記の斤量設定が採用されている。
■基本重量
・3歳馬:56㎏(牝馬54㎏)
・4歳以上:57㎏(牝馬55㎏)
▼実績に応じて斤量が増加する
・G1勝ち馬 ⇒2㎏増
・G2勝ち馬 ⇒1㎏増
※牝馬限定戦
・G1勝ち馬 ⇒1㎏増
※2024年11月8日以前のG1勝ち馬(牝馬限定競走を除く) ⇒1㎏増
※ただし2歳時の成績を除く
この設定により、今年のG1・フェブラリーSを制したコスタノヴァはメンバー中で最も重い59㎏で出走することになる。対して、2番人気想定のオメガギネスは今回は57㎏で出走が可能だ。
2022年までのルール、G1勝利馬は斤量3㎏増よりは緩和されたものの、有力馬との2㎏の斤量差は大きなハンデとなるだろう。
不安要素②:馬齢について
コスタノヴァは5歳馬だが、過去10年の馬齢別成績を確認してみよう。
| 年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 3歳 | 1- 2- 1- 15/ 19 | 5.3% | 15.8% | 21.1% |
| 4歳 | 3- 3- 3- 27/ 36 | 8.3% | 16.7% | 25.0% |
| 5歳 | 1- 3- 3- 37/ 44 | 2.3% | 9.1% | 15.9% |
| 6歳 | 4- 1- 1- 23/ 29 | 13.8% | 17.2% | 20.7% |
| 7歳 | 1- 0- 2- 19/ 22 | 4.5% | 4.5% | 13.6% |
| 8歳 | 0- 1- 0- 5/ 6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% |
5歳馬はギルデッドミラーの【1勝】のみと不振が目立つ。対照的に4歳馬が【3勝】、6歳馬が【4勝】と好成績を残している。これには理由がありそうだ。
武蔵野Sは、実力馬と上がり馬がぶつかる舞台であり、馬齢ごとに特徴が見られる。
・3歳馬:古馬との斤量差が10月の古馬混合戦では2㎏減に対し、11月は1㎏減となる。斤量差が縮まるため、能力差が出やすい。
・4歳馬:JRAのデータ分析でもサラブレッドの競走能力は4歳秋に成長のピークを迎えるとされており、武蔵野Sはまさにその時期に開催される。
・6歳馬以上:豊富なレース経験を積み、ベテランとしてどんなレース展開にも対応ができる強みがある。
一方で5歳馬は、4歳秋から5歳春にかけて重賞戦線で激しく消耗した後で、その激戦の反動が出やすい時期となっている。
さらに4歳馬が成長のピークに差し掛かったり、晩成型の6歳馬が急激に力をつけてくるなど、成長力で差を詰められていることも考えられるな。
またコスタノヴァは休み明けでの出走となり、このレースはフェブラリーSのG1連覇や先のG1へ向けての叩き台とも考えられ、100%のパフォーマンスを発揮できない可能性も否定できない。
不安要素③:脚質と展開
最後に、過去10年の脚質別成績を確認していこう。
| 脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 逃げ | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
| 先行 | 2- 3- 3- 27/ 35 | 5.7% | 14.3% | 22.9% |
| 差し | 4- 4- 2- 55/ 65 | 6.2% | 12.3% | 15.4% |
| 追込 | 3- 3- 4- 37/ 47 | 6.4% | 12.8% | 21.3% |
| マクリ | 0- 0- 0- 0/ 0 |
差し・追い込みといった後方から運ぶ馬が【計7勝】と有利な傾向にある。
これは、東京ダート1600mが芝スタートで前半からペースが上がりやすく、武蔵野Sの過去10年の前後半3ハロン平均ラップは「34.62-36.19」が示す通り、前傾ラップ(ハイペース)になるため。結果として、前が止まり最後の直線での末脚比べになりやすい傾向にある。
そのため、上がり3ハロンで最速を記録した馬が[4-2-3-2]と複勝率81.8%と圧倒的な好成績を残している。
コスタノヴァも末脚を使えるタイプだが、59㎏の斤量を背負い、後方から厳しいマークを受ける展開になると、差し損ねる可能性もあるだろう。
まとめ
コスタノヴァは、「1番人気の不振」「重い斤量」「5歳馬」「休み明け」「厳しいマークを受ける可能性がある」といった不安要素が挙げられる。
しかし、東京ダートでは無敗であったり、鞍上がこの馬を知り尽くしているルメール騎手であることなど、実力上位は間違いないため、アッサリ勝つ可能性も十分ある。それでも『確勝級』とは言い切れないため、馬券を検討する際は慎重に考えたいな。
加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。
