ども、騎手情報担当の加藤です。
クールな男が吠えたな!
これは、JRA公式Youtubeに上がっている先週のG1・マイルCSのジャンタルマンタルに騎乗した将雅(川田騎手)のジョッキーカメラになる。
いつもはクールな印象が強い将雅だが、ゲート入りでは優しく馬をなだめて、レースでは直線を突き抜けた瞬間、そしてゴール後に入線する際、「よっしゃあ!」「YHEA!」「さすがだよ、マイルチャンピオンだ!」と感情を爆発させて吠えていたな!
いつもクールなだけに、ここまで興奮するのは、ジャンタルマンタルに相当な思い入れがあるのだろう。
これでジャンタルマンタルは朝日杯FS、NHKマイル、安田記念に続いてマイルCSを制し、牡馬マイルG1完全制覇を成し遂げた。さらに将雅自身も年間100勝と中央G1を30勝の記録を達成した。
牡馬マイルG1を制覇したジャンタルマンタルはまだ4歳馬。日本には留まらず、世界にも挑戦してほしいな。とにかくコンビでの今後の活躍が楽しみだ。
未来のG1を探せ
京都2歳S
さて、今週は京都芝2000mにて京都2歳Sが行われる。
2014年にオープン特別から重賞へ昇格して以降、ここは後のG1馬を輩出する出世レースとして注目されている。一昨年、ここで4着に敗れたダノンデサイルは後にダービー馬となり、2018年の3着馬ワールドプレミアも後にG1を2勝するなど、今後の活躍を占う重要な一戦だ。
今年は、新馬戦を3馬身半差で圧勝したバルセシートや、1勝クラス・紫菊賞でレコード決着の激戦を演じ、クビ差2着に好走したサトノアイボリーなどが出走する。
1番人気が圧倒的な成績
まずは、京都2歳Sの過去10年の人気別成績を確認してみると、
| 人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1番人気 | 4- 2- 1- 3/ 10 | 40.0% | 60.0% | 70.0% |
| 2番人気 | 1- 2- 2- 5/ 10 | 10.0% | 30.0% | 50.0% |
| 3番人気 | 3- 2- 2- 3/ 10 | 30.0% | 50.0% | 70.0% |
| 4番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
| 5番人気 | 2- 1- 1- 6/ 10 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
| 6~10番人気 | 0- 2- 2- 41/ 45 | 0.0% | 4.4% | 8.9% |
| 11番人気以下 | 0- 0- 1- 10/ 11 | 0.0% | 0.0% | 9.1% |
1番人気が【4勝】、複勝率70%と安定した成績を残している。特に阪神開催(2020年~2022年)を除いた京都開催のみに絞ると、1番人気は[4-2-1-0]と勝率57.1%、複勝率に関しては100%という圧倒的な数字になる。
昨年もエリキングが人気に応えて勝利しているように、基本的には「上位人気が堅実なレース」と言っていいだろう。今年もバルセシートが人気を集め、1番人気に推されそうだが、実は危険な要素がある。それは「距離の壁」だ。
宿敵は距離の壁?
前走マイル以下の成績とは
前走の距離別成績を確認していこう。
| 距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1400m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
| 1600m | 0- 0- 0- 12/ 12 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
| 1800m | 3- 4- 2- 18/ 27 | 11.1% | 25.9% | 33.3% |
| 2000m | 5- 4- 6- 24/ 39 | 12.8% | 23.1% | 38.5% |
マイル以下からの距離延長組は[0-0-0-13]と全滅している。スタミナが問われる京都2000mにおいては、「1800mから2000m」を経由してきた馬を中心に見ていくのがセオリーだ。
バルセシートも前走はマイルを走っており、さらに半姉のG1馬レシステンシアはスプリント~マイルの距離で活躍した馬だ。血統的背景も含め、2000mへの延長は厳しいのではないだろうか。
なぜ「前走マイル以下組」は全滅するのか
前走マイル以下組が苦戦する理由は、「京都芝2000mという舞台の特殊性」にある。
京都芝2000mは、スタンド前の直線半ばからスタートし、1コーナーまでの距離は309mと短い。本来なら先行争いが激化しやすいレイアウトだが、京都2歳Sは少頭数になりやすいため、隊列は早々に決まりやすい傾向にある。
その結果、道中はスローペースで流れ、後半の瞬発力勝負になりやすい。実際、京都開催の過去8回における前後半3ハロン平均ラップは「36.35-34.94」と後傾ラップになっている。
マイルの速い流れを経験した直後の2歳馬は、この道中の緩いペースに我慢できずに掛かってしまい、自滅するケースが多いのだ。
さらにコース形状もタフだ。3コーナーにかけての上り坂、4コーナーにかけての下り坂とアップダウンが激しく、ペースの変動に対応しなければならない。そして直線は328mと短いため、4コーナーである程度のポジションにいることが好走のカギになっている。
実際に京都で行われた京都2歳Sの8回分の脚質別成績を確認してみると、
| 脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 逃げ | 0- 1- 2- 5/ 8 | 0.0% | 12.5% | 37.5% |
| 先行 | 4- 4- 1- 18/ 27 | 14.8% | 29.6% | 33.3% |
| 差し | 2- 3- 1- 17/ 23 | 8.7% | 21.7% | 26.1% |
| 追込 | 1- 0- 3- 15/ 19 | 5.3% | 5.3% | 21.1% |
| マクリ | 1- 0- 1- 0/ 2 | 50.0% | 50.0% | 100.0% |
逃げ馬は勝ち切れておらず、「先行~好位差し」が王道だ。4コーナー5番手以内は[6-7-5-28]と【6勝】しており、複勝率も37.8%と優秀な数字を残している。直線が短いため後方一気は決まりにくい。
このようにペースのアップダウンや位置取りの意識が求められる舞台では、1800m~2000mの実戦経験がないと対応が難しいのだろう。
まとめ
バルセシートは、前走マイル戦で見せたパフォーマンスが高く、上位人気になりうる素材だ。しかし、過去のデータからは「距離延長」という明確な不安要素が存在する。
とはいえ、前走1600m以下組でこれほど人気になった馬が過去にいなかったことや、当レースにおける1番人気の圧倒的な好走率を考慮すれば、バルセシートの2歳馬離れした完成度であっさりと勝つ可能性も十分にある。
不安要素を踏まえて疑うか、1番人気に支持された場合は好走傾向にあるデータを信じるか。取捨の判断が馬券のカギを握ることになりそうだ。
加藤
関西ジョッキーは「だいたい友達」
幼少期に競馬場で武豊を生で見てジョッキーを志し「圧倒的に勝ちまくるユタカとアンパンマンが幼少期のヒーローだった」(本人談)。残念ながら競馬学校入学の規定に合わず夢を断念するも、同じ世界で働きたい一心で業界に飛び込んだ。「最後に馬券を託すのは騎手。騎手なくして馬券は買えない」が座右の銘で、関西ジョッキーはだいたい友達を公言し、騎手エージェント事情にも深く精通している。
騎手を志しただけあって騎乗技術にはとてもうるさく、ほとんどの騎手のクセを手の内に収めている。横山武史、坂井瑠星など、サイト内でブレイクを予告した若手騎手が軒並み大活躍中。
