こんにちは、美浦の佐山です。今日は秋華賞に出走してこなかった“とある関東馬”の話題をしたい。
その馬とは……ズバリ、シンリョクカ(美浦・竹内厩舎)のこと。
昨年の阪神ジュベナイルFではキャリア一戦の身で2着。今年は桜花賞6着⇒オークス5着という戦績だ。
“まだ小柄な馬体なのでレース数を使いたくない”という厩舎サイドの意向があって、出走数はここまでわずか4戦。あとはココからの成長曲線がどうなるかだが、この馬の母親(レイカーラ)も奥手な馬だったからな。
また、管理している竹内厩舎は、知名度こそ低いがなかなか侮れなくて、番組選びが上手だったり、穴決着を度々演出したりと玄人好みの厩舎なんだ。穴党の会員様は覚えておいて損はないだろう。
そんなシンリョクカだが、秋華賞にも出走登録をしていながら、最終的には府中牝馬Sに出走してくることになった。
……という風に見えるのは、恐らく大半のファンと、スポーツ紙読者、記者連中くらいのモンだろう。これは既定路線である。
ただ、賞金面で不足してたわけでもないし、実績的に「穴馬ならコレが面白いんじゃないか?」と考えていたかも少なくないかもしれない。狙っていた方は今頃落ち込んでいるか、“何故?”って思っているかもな。
聞いた話だが、若者の間では
「なぁぜなぁぜ?」ってフレーズが
流行っているらしい……謎だ。
実は、厩舎に近しいところでは1ヶ月以上前から「基本線は府中牝馬S」という話だった。脚質的に内回りの京都より、末脚が生きる東京の方がいかにも合いそうという判断や、輸送の負担を考慮した采配だろう。
にもかかわらず、スポーツ紙の一部では、例えば先週の1週前追い切りが『秋華賞の記事』として載っていたりもしていた。この辺り、ちゃんと取材しているかどうかの違いが出るところと言える。
となると、「何故最初から番組を表明していなかったのか?」という疑問が湧くことだろう。
ただ、これは仕方のないことというか、馬主さんや周囲への都合がある手前、現代競馬では厩舎の一存で情報を発信しづらくなっていることが挙げられると思う。
例えば、オーナーさんとすれば決して数多くはないGI出走のチャンスでもあるし、可能性は最後まで消したくなかったんだろう。
他にも、これは厩舎によるんだけど、最初から秋華賞じゃないことが決まっていたとしても“スポーツ紙の記者さんも色々とスペースを埋めるために取材してるんだろうな~”と気遣いでボカしておく……なんてことも考えられるだろう。
それともう一つ。さっきも言ったように、シンリョクカという馬の個性を考えれば、府中牝馬S出走というプランは非常に前向きな選択だと思う。加えて、期待できる賞金はこんな感じだ。
着順 | 秋華賞 | 府中牝馬S |
---|---|---|
1着 | 11000万 | 5500万 |
2着 | 4400万 | 2200万 |
3着 | 2800万 | 1400万 |
4着 | 1700万 | 830万 |
5着 | 1100万 | 550万 |
ご覧の通り、リバティアイランドが居る秋華賞での2着賞金より、府中牝馬Sの1着賞金の方が高い。
もちろん、府中牝馬Sの場合は初めての古馬との対決となる点で未知数な部分はあるけれど、『長距離輸送のリスクなし』『適性面で合いそう』というメリットの方を重く見た、良い選択だと思う。
“良い選択をしたから勝てる”ほど競馬は甘くないが、少なくとも府中牝馬Sを選択した過程については、個人的にはメチャクチャ好感が持てるし、勝負度合いは推して知るべしだろう。古馬に混じってどれくらいの人気になるかは読めないが、馬券には入れておいた方がイイ馬だと思うぜ。
佐山
栗東から美浦へ…ライバル陣営の情報は任せろ
ビッグボス堀江を師と仰ぎ、かつては同じく記者として栗東で活動していたベテラン。栗東を出たことのない根っから地元民だったが、ある時に関東情報の収集のため美浦に派遣されたことをキッカケに、今では『ライバル陣営』にあたる関東圏の勝負情報を一手に引き受けるリーダー的存在となった。
本人曰く『向こうの水が合っていた』とのことだが、実際は“遊び”の環境が揃う関東圏の生活が楽しくて仕方がないらしい。しかし、仕事には一途であり、その“遊び”も含めて関係者からの本音を引き出す技術は一級品である。