個性派記者の本音トーク 佐山

【悲報】ルメールの未来を揺るがす!?“激ヤバ”の背景を見逃すな!

個性派記者の本音トーク 佐山
佐山

どうも、美浦の佐山です。

この記事を読み終えた頃には「今年のルメール、ヤバイかも!?」という感想を持ってもらえるんじゃないだろうかと思うので、是非最後までお目通しいただきたい。

ルメールと言えば『京都記念(G2)でチェルヴィニアに騎乗』という事実が一般マスコミでも報じられていたな。

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しかし今回、俺は別にチェルヴィニアの話をしたいワケじゃないんだ。

これは裏を返すと『同日に東京競馬場で行われる共同通信杯(G3)には参戦しない』という意味だろ?


実はルメールは毎年のように共同通信杯に参戦している。何せ2015年3月にJRAの通年免許を取得して以降、2018年以外の全ての年で騎乗しているからな。

ちなみに2018年に何があったかというと、前年にルメールとのコンビでダービーを制したレイデオロが4歳シーズンの初戦に京都記念を選択しており、そちらへの騎乗を決めていた。ただルメールは騎乗停止処分を食らって、結局この週は全くレースに乗れなかったんだけどな。

今年でルメールがJRAのジョッキーになってから10年が経つ訳だが、これまでにたった1回しかない京都記念への参戦。

ライトなファン層からすれば「それだけチェルヴィニアを評価してるんだ!」と思う方も少なくないだろうが、俺にはルメールにとって“激ヤバ”の背景が影響しているとしか思えないんだ。今回はそこを深堀りしていこう。

関東の3歳馬が大不振

一応前提として言っておくと、俺がしたい“激ヤバ”の話ってのは、ルメール自身のことじゃない。

何が“激ヤバ”かというと、今年は関東馬の3歳世代があまりにも結果を残せていないことである。

まず確認しておきたいのが『昨年の2歳戦における芝のオープンクラス(重賞含む)』の成績。要するに、現3歳世代が上のクラスでどのような結果を残してきたかというデータ。これを関東馬関西馬で区別するとこのような成績となる。

着別度数 勝率 連対率 複勝率
関東馬 7- 8- 9- 84/108 6.5% 13.9% 22.2%
関西馬 21- 20- 18-116/175 12.0% 23.4% 33.7%

関東情報班の俺が言うと虚しくなるが、現代競馬は【西高東低】。まあ仕方ないか……という気持ちではあるものの、圧倒的に関西馬優勢の状況である。

それにしても関東馬の7勝という数字はかなりよろしくないんだ。いくら西高東低と言えども、同条件で検索すると2021年13勝、2022年10勝、2023年13勝。さすがに2ケタは勝つというのが近年の流れだった。

更に補足すると、昨年の108頭という出走頭数はここ10年で最少の数字となっている。

『今年の関東の3歳馬は、例年と比べて2歳戦の内にオープンクラスのレースを勝てなかった。それ以前の問題としてそもそも上のクラスに出走している馬の数が明らかに少なかった』ということが事実として残っている。

2歳G1で史上初の出来事

ここで改めてルメールの方へと目を向けたい。ルメールは所属こそ栗東になっているが、関東馬に騎乗する機会が非常に多いジョッキー。

実際に2020年~2024年の5年間における騎乗数を見ても、

関東馬:2398頭
関西馬:1006頭

といった感じである。


皆さんもよくご存知だろうが、ルメールと言えばノーザンファームとの繋がりが強固であり、福島県のノーザンファーム天栄で調整しているような関東馬への騎乗機会が非常に多い。

ここ5年の関東馬2398頭の内、ノーザンファーム関連名義(サンデーレーシング、シルクレーシング、キャロットファーム、吉田勝己氏、吉田和美氏)の馬が1118頭。近年で言えば、イクイノックスアーモンドアイなんかはまさにここに該当する。

言うなれば天栄の“ファーストドライバー”。昨年の菊花賞なんかでも、ノーザンファームの馬が多頭出しになった際には、ルメールの意向を汲んで騎乗馬を決めていたという話であり、しっかりルメールが選択したアーバンシックが快勝したってのも重要なポイント。

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当然ノーザンファームサイドとしても期待馬は早い段階でルメールにあてがう。そのため、ここ最近のルメールは2歳戦の内に天栄の実力馬と出会い、勝ち上がらせ、そのまま3歳のクラシック戦線でも手綱を執るというパターンが多かった。

以下の馬は2歳の内にルメールがコンビを組んで勝利を挙げ、クラシックでも騎乗した例だ。

■2023年
7/9函館5Rレガレイラ
8/12新潟2Rチェルヴィニア

■2022年
11/19東京2Rスキルヴィング

■2021年
6/26東京5Rジオグリフ
8/28東京5Rイクイノックス

■2020年
6/7東京5Rサトノレイナス

■2019年
6/9東京5Rワーケア

■2018年
6/3東京5Rグランアレグリア

■2017年
6/7東京5Rステルヴィオ
10/8東京2Rアーモンドアイ

■2016年
10/9東京5Rレイデオロ

当然、現3歳世代においてもルメールはノーザンの関東馬に騎乗するケースが多いのだが……

昨年12月の2歳G1ではいずれも関東馬で参戦したものの、

■阪神JF
ブラウンラチェット→16着

■朝日杯FS
アルレッキーノ→10着

■ホープフルS
アマキヒ→17着

このように、全く結果を出すことができなかった。

実はルメールが同一年の2歳G1全てで2ケタ着順に敗れたケースはこれが初めて。これまではほとんどの年で馬券に絡んでいたし、阪神JFとホープフルSに関しては複数の勝利を挙げているほど。

牧場・馬主サイドからすれば期待馬をあてがっているはずなのだが、それで全く結果が出なかったのだから、これは重い事実である。

桜花賞、皐月賞で何に乗る?

佐山

と、ここまでは現状を整理してきたが、最後に核心を突くような質問をさせていただく。


ルメール、桜花賞と皐月賞で何に乗るんだ?

恐らくこれに対してスパッと何かしらの馬名が出る方は少ないんじゃないだろうか。それぐらい確たる存在が不在の状況なんだ。

もちろん牝馬戦線で言えば、アルテミスSを勝って、阪神JFでも手綱を執ったブラウンラチェットに継続騎乗というパターンはあるな。

ただ同馬が阪神JFで大敗してしまったことを考えると、他に何かしらの候補が出てくれば切り替える可能性は十分にある。

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牡馬戦線に至っては更に不透明である。昨秋の東スポ杯2歳Sで3着に導いたレッドキングリーや、京成杯が濃密な内容の4着だったキングノジョーなども居るが……両馬ともに収得賞金が400万円しかないため、どこかで賞金加算/優先出走権獲得が必要な立場。


結局のところ、チェルヴィニアが京都記念で始動するというのも、前述の“3歳世代の不振”という理由から、ルメールが共同通信杯で乗るような馬が居ないってのが大きく影響しているんじゃないだろうかね。

そうそう、過去に1度だけあったルメールが共同通信杯を選ばなかった2018年ってのは、同レースに出走したノーザン関連の関東馬は単勝132.9倍と大穴だったエイムアンドエンドの1頭だけしか居なかったんだ。これもまた『共同通信杯にはルメールが乗るような馬が居なかった状況』と言えるね。

まあその年に関しては牝馬戦線にアーモンドアイ、牡馬戦線にステルヴィオが居たから、今年のような寂しい感じではなかったけどな~。


果たしてここから関東馬の成績は上がってくるのか?

実はまだ真打ちがオープン級のレースに出走していないだけなのか?

そもそもクラシックでルメールが乗るのは関西馬なのか!?

(弥生賞出走予定のミュージアムマイルとか、乗ることになっても驚かないよな)

ルメールはG1でも人気になるジョッキーだけに、馬券的にもしっかりと見極めていかないといけないな。

佐山

栗東から美浦へ…ライバル陣営の情報は任せろ
ビッグボス堀江を師と仰ぎ、かつては同じく記者として栗東で活動していたベテラン。栗東を出たことのない根っから地元民だったが、ある時に関東情報の収集のため美浦に派遣されたことをキッカケに、今では『ライバル陣営』にあたる関東圏の勝負情報を一手に引き受けるリーダー的存在となった。

本人曰く『向こうの水が合っていた』とのことだが、実際は“遊び”の環境が揃う関東圏の生活が楽しくて仕方がないらしい。しかし、仕事には一途であり、その“遊び”も含めて関係者からの本音を引き出す技術は一級品である。

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