
どうも、美浦の佐山です。今日はケーキの話とフェブラリーS(G1)の話をしよう。
栗東に拠点を構えるCHECKMATEの中で、俺は関東情報網の中心を担当させてもらっている……というのは知っていただけていると思うが、
時々「じゃあ、佐山さんはいつも栗東から離れてひとりで行動しているんですか?」と質問されることがある。
結論からいうとそんなことは全くなくて、俺以外にも関東(美浦)取材を担当する人間は沢山いるし、時には栗東・美浦の情報網の間で東西を行き来することもあれば、タイミングを合わせて会合を開くこともしばしばある。
今週も色々と事情があって、栗東から何名かの情報網がコッチを訪れてくれたんだが、その時に持ってきてくれた土産がこれだった。

余談だが、この土産代は
ビッグボスこと堀江さんのおごりだったらしい(笑)
そう、大阪名物・りくろーおじさんのチーズケーキである。
昔は俺も栗東で記者としての下積みを長く経てきたが、今ではすっかり関東の人間。大阪に行く機会がめっきり減ってしまったからな。この味が懐かしく思えたよ。
もちろん、ただ単に栗東からケーキを運んできてもらったワケではないぞ。
しっかりと『個人的なお土産ネタ』を渡しておいた。日の目を浴びるタイミングはそう遠くないはずだから、ぜひご注目いただきたいところだ。
さて、ココからはケーキを頂きながら交わした話題のひとつ、フェブラリーSに関する話をしていこう。
先週の根岸Sを勝ったのがコスタノヴァという馬だった。後続に4馬身差をつけた通り、快勝と言っていいレースぶりだったよな。

コスタノヴァはこれで東京のダート戦で5戦5勝。一般マスコミでは“府中の鬼”だなんて評しているところもあったように、コース適性の高さは確か。しかも根岸Sの勝利によって、フェブラリーSへの優先出走権も獲得した。
その根岸Sの直後、木村調教師からは「まだ脚元も固まっていない馬。海外だ、G1だと言われるかもしれませんが、軽はずみなことは言えません」というコメントが出ていた。まるで『フェブラリーSには使いません』という雰囲気だったのだが、水曜になってオーナーサイドから出走を決める声が出たのだ。
実は現場では「え!?コスタノヴァ使うの!?」と驚く関係者も居たんだ。しかもこの関係者はなかなかの大物で、関東のトップジョッキーや大手牧場とも特別な繋がりを持つような方である。
なぜそんな大物関係者が驚いているか?
話はシンプル。現時点でフェブラリーSは、なかなかコスタノヴァに乗れるようなジョッキーが空いていない状況なんだ。

まず、コスタノヴァに乗ってきたジョッキーを整理する。
・ルメール騎手
(キャリア9戦中6戦で騎乗)
→フェブラリーS週はサウジアラビアで騎乗
・横山武史騎手
(根岸Sで勝利に導いたジョッキー)
→既にフェブラリーSではエンペラーワケアへの騎乗が内定
・杉原誠人騎手
(23年3/11中山6Rで初勝利した際の鞍上)
→フェブラリーSと同日に行われる小倉大賞典でエピファニーに騎乗予定
・マーカンド騎手
(新馬戦・22年12/25中山6Rで騎乗)
→短期免許期間外のため不在
このように、各騎手がフェブラリーSで騎乗するのは不可能な状況。もちろん横山武騎手や杉原騎手が予定を切り替える可能性はあったものの、現状はそういった動きはないとのこと。
となるとコスタノヴァは空いている他の騎手とコンビを組むことになるが……さすがに裏でサウジ国際競走があるタイミングとあって、上位騎手は早い段階で確保されている傾向にある。
そもそも国内で騎乗する騎手の数が少ない週である上に、裏のローカル・小倉でも小倉大賞典(G3)が行われるため、G1デーにもかかわらず騎手の選択肢が幅広いとは言えない日なんだよ。

じゃあ、誰を乗せるのか?プランは大きく3つだろうな。
【1】上位騎手の騎乗馬回避を待つ
これはよくある手法の一つ。ゲームなんかでは目標のレースを設定したら何事もなくレースへ出走できることがほとんどだろうが、実際の競走馬というのは大変繊細である。
もちろん関係者の尽力によって無事にレースへ出走できる馬が多いものの、まだレースまで2週間以上も時間が残されているだけに、それまでに回避馬が発生する可能性は十分にあり得る。
もしそうなった時に、回避馬に騎乗予定だったジョッキーに騎乗依頼をかけるというパターンだ。
【2】現時点で空いている騎手から選ぶ
【1】のようなパターンはあるものの……フェブラリーSはG1である。
更にコスタノヴァは東京コースへの相性が非常に良く、前哨戦で勝利していることからチャンスが十分にある馬であることも確か。誰かと新コンビを組むことになった場合は、しっかりと追い切りで感触を確認してもらいたいところだろう。
そのため、他馬の回避待ちをせず早い段階で誰か騎手を確保してしまうのも一つの手だ。
ちなみに、昨年関東所属のノーザンファーム生産馬に騎乗する機会が多かったジョッキーを上から見ていくと……
戸崎騎手 :東京(ミッキーファイト)
北村宏騎手 :京都
横山武騎手 :東京(エンペラーワケア)
石川裕騎手 :東京(騎乗予定なし)
津村騎手 :サウジ遠征
三浦騎手 :サウジ遠征
横山和騎手 :東京(ペイシャエス)
菅原明騎手 :サウジ遠征
杉原騎手 :小倉
現状、唯一予定が空いているのが石川裕紀人騎手である。2023年にはコスタノヴァと同じ吉田勝己氏名義のオールアットワンスで、G3・アイビスSDも勝利している。
このまま情勢が変わらないのであれば、彼に声がかかるパターンも十分にありそうだな。
【3】ウルトラC発動!?
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」という言葉はマリー・アントワネットが言ったとされる有名なセリフだが、実は彼女はそんな傲慢なことは言っていないらしい。もちろんりくろーおじさんのチーズケーキは食べていないようだ。
そんなことはさておき『中央の騎手が足りなければ、外から連れてくればいいじゃない』という状況ではありそう。具体的に言えば、地方or海外だ。
地方競馬所属の騎手が中央競馬で騎乗するためには、その地方騎手が所属する競馬場の馬が遠征する必要がある。
例えば……今週土曜東京8Rにオソレという川崎の馬が出走している。この馬の鞍上は川崎競馬の山林堂信彦(さんりんどう・のぶひこ)騎手だ。
山林堂騎手はこれにより、土曜東京の他のレースにも騎乗可能となった。いわゆる“エキストラ騎乗”というもの。山林堂騎手はオソレ以外に、土曜東京で3鞍に騎乗することとなった。
フェブラリーS当日は、地方馬が出走可能な3歳1勝クラスのレースが1鞍行われる。もしそこに地方馬が地方騎手と共に遠征してくるようであれば、当然ながらそのジョッキーもフェブラリーSへ騎乗できる資格が発生するんだよな。
例えば、南関東の馬が南関東の騎手と共に中央へ遠征してくるかもしれない……。
そして今ならば、吉原寛人が期間限定で川崎所属のジョッキーとなっているため、彼を中央へ呼び寄せることだってできるかもしれない……。

吉原寛人騎手
これは別に、実際にそんな話を聞き入れている訳じゃないぞ。俺が馬主だったらそういうことも考えてしまうって話。それぐらい上位の騎手が居ないんだよ……。
ということで、コスタノヴァの鞍上が誰になるか問題に関しては、正式発表をもって答え合わせとしたい。週末、日曜日には特別登録馬も発表されるし、そう遠くない内に結果発表が行われるぞ。

ちなみに、フェブラリーS当日は京都競馬場もジョッキーがめっちゃ少ない状況。そっちの話は赤崎さんがしてくれているので、ぜひ読んでみてくれ。

佐山
栗東から美浦へ…ライバル陣営の情報は任せろ
ビッグボス堀江を師と仰ぎ、かつては同じく記者として栗東で活動していたベテラン。栗東を出たことのない根っから地元民だったが、ある時に関東情報の収集のため美浦に派遣されたことをキッカケに、今では『ライバル陣営』にあたる関東圏の勝負情報を一手に引き受けるリーダー的存在となった。
本人曰く『向こうの水が合っていた』とのことだが、実際は“遊び”の環境が揃う関東圏の生活が楽しくて仕方がないらしい。しかし、仕事には一途であり、その“遊び”も含めて関係者からの本音を引き出す技術は一級品である。